少女漂泊~Monologue by HARUKA ο
飛鳥の上洛
叔母の飛鳥が、新幹線で今着いたと
京都駅から連絡があった。
<すぐ出てきなさいよ、近いんでしょ?>
・・・・あのね、あたしのいるとこ、紫野なんで、
京都駅からめちゃ遠いんですけど
「30分くらいかかるけどいい?」
<そんなにかかるの?まぁ、仕方ない、その辺で時間つぶすから、
着いたら連絡ちょうだい。>
どうやら叔母は、京都が大都市だという感覚はないらしい。
たぶん、感覚として鎌倉くらいにしか思っていないんじゃないのか?
そんな印象を持った。
京都の人は、東京を「田舎」って呼んでるんだぞ・・。
とりあえず
あたしは身支度して、京都駅に向かった。
「何か用でもあるのかな・・。」
わざわざ来たのかそれともついでなのか、
それでずいぶんちがうものだ
あたしは地下鉄を降り、京都駅の新幹線改札口近くで携帯をかけた。
「飛鳥おねえちゃん、どこにいるの?」
<目の前のスタバ!、あんたが見えてるよ>
見ると、ついこないだ開店した、チェーンのコーヒー店
まるでショーウインドーにいるように、叔母がコーヒーを飲んでた。
「おーい、はるかー。」
中に入ると叔母があたしの方を見て、大きく手を振った
・・・少し恥ずかしい・・。ていうか、
「めちゃ恥ずかしい」
「ちょっと、おねえちゃんは旅の恥かも知れないけど、あたしここの住人だから、考えてよね。」
「へへん、関西弁も使わんで何いっとるか。」
いつものように悪態をついたあと、あたしの顔をじっと見つめて、
「はるか、折り入って話があるの、あんたのアパートにいこ。」
何が何だかわからないまま、あたしは叔母をアパートに連れて行くことになった。
叔母はぱっと手を挙げて、タクシーを捕まえると、
「ほら、乗って」
まるで誘拐されるように、あたしは叔母と共にあたしのアパートに到着した。
「お~、なんだかタイムスリップしたみたいな アパートだねぇ。都内じゃそうそう見られないかな・・。まぁ、地上げに遭ったからね、都内のこういう物件は。」
なんだか喜んでいいのか良くないのか複雑な気持ちだ。
叔母は、遠慮なくあたしの部屋に入って、いきなり切り出した。
「はるか、内海くんのことをどう思ってる?」
「・・・・え・・?」
あたしは答えに窮した・・。
考えればまともに考えたことはないけど・・。
ハグされてイヤじゃないし・・・
それに・・・
そうだ、あたしからキスしたんだ・・。
でも、なんだろう、そんな少女漫画みたいな感じじゃない。
あらためて訊かれてあたしは混乱している
叔母は、意外なことを言った。
「迷ってるんなら、やめな。
彼とは中途半端にするんじゃない。はっきりしなさい。」
うーー、飛鳥お姉ちゃんのバカ!
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