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5.税は財源ではない!?


税がなくても予算は執行される


前章の繰り返しになりますが、税金は何のために徴収されるのでしょうか。
一言で言うと、国民の医療や福祉、インフラ整備などいわゆる「公共サービス」などに使うために税金が必要だと、教科書的にはそう説明されるでしょう。
だから、我々国民から徴税し、国は国民から集めた税収を超える範囲で国家予算を組み、予算を執行される・・・。
そう説明されると、誰もが「なるほど、そりゃそうだ」と疑いもせずに納得してしまうでしょう。

でも、事実を言いますと、全くの正反対です。
国家予算を執行する際は、政府の支出が先です。
つまり税を集める前に予算が組まれ、予算が執行されるのです。
これを「スペンディング・ファースト」と呼びます。
日本語に訳すと「支出が先」です。

そんな、バカな!
ではなんで税を払わなければいけないんだ!!意味がないだろ!!
と、思う人もいるでしょう。
お怒りごもっとも。
でも、事実だから仕方ありません。
ではどうしているのか?と疑問を持つことでしょう。

政府は、年度の国家予算を執行する際、国債や政府小切手、またはそれらと同じような借用証書を発行し(財務省証券と言います)、日銀から日銀当座預金というお金を発行してもらい(マネタリーベース)、財源を賄っています。
このことは、財政法第7条でもしっかりと明記されている事項で、紛れもない事実です。

極端な話、税収がゼロでも予算執行が可能なのです。
つまりは「税は財源ではない」と言うことです。
だから、政治家や経済評論家がよく「財源は?財源は?」と言っているのを聞くたびに、ボクは「財源あるでしょ」と思ってしまうのです。

税の本来の役割


かといって、税が全く要らないかと言うと、そういうわけではありません。
税は必要であり、本来の税金の役割があります。
ただ、この税の役割は昔とは違います。
昔は、確かに国民から収穫した米を税として徴収していた時代はありました。
また、お金で徴収するようになってからも、金本位制(金を通貨の価値基準とする制度。 各国の中央銀行が発行した紙幣と同額の金を保有し、いつでも相互に交換することを保証する制度)の頃は、徴収した税で国家予算を賄っていた時もありました。

でも今は違います。
今の税の本来の役割は以下の通り主に3つあります。
1,景気調整
2.所得格差縮小
3.通貨の徹底

1つ目の景気調整は、景気が加熱した時には増税して可処分所得を減らして景気を鎮静化したり、不景気の時には減税して可処分所得を増やして消費を喚起させて景気を良くします。例えるならば、お金の流れを強めたり弱めたりするバルブのようなイメージです。
中小企業診断士の三橋貴明氏は、景気の安定化装置=ビルトインスタビライザーという表現をしています。

ちなみに可処分所得とは、個人または世帯が税金や社会保険料、その他の強制的な経済的負担を差し引いた後に残る所得のことです。つまり実際に個人や世帯が自由に使用できる金額であり、消費や貯蓄に回すことが一般的です。

2つ目の所得格差縮小とは、簡単に言うと、お金持ちから税金を多く徴収し、お金を持っていない人に分配することです。こうすることで、国民全体の所得格差を縮めて国民生活を安定化させます。

3つ目の通貨の徹底ですが、これは言い方を変えると「通貨の強制」です。
「日本円」で税を徴収し、円で公共サービスや公共投資を行い、国内を日本円で流通させることを目的にしています。
国内を様々な通貨が行き交ってしまうと、国も管理できなくなるし、我々国も混乱します。
その際、方便として「財源」と言う名目で税を徴収しているだけのことなのです。

ここまで、税の新常識(事実)をお伝えしました。
驚かれた方もいらっしゃるかとも思いますが、子供だからといって今までのようなまやかしのようなロジックでお伝えするよりも、ストレートに事実をお伝えすることを選びました。
この本自体そうですが、子供を子供扱いするような内容ではなく、子供だからこそお金の本当の事実を伝えることを主旨としています。
ご理解いただけると幸いです。

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