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Walls&Bridges

年末年始をまたいですっかりnoteの更新が滞ってしまった。新型コロナウィルスの影響で年始から緊急事態宣言の再発出もあり、気持ちが落ち着かない日々が続いているのは僕だけではないと思う。

今年の元旦からYouTubeを始めた。以前からずっと考えてはいたけれど、なにしろはじめの一歩を踏み出すのに時間がかかるタイプなのでなかなか実現出来ずにいたが、背中を強く押してくれたのは友人の作曲家、シンガーソングライター、プロデューサーの成瀬英樹氏(なるちゃんと呼ばせてもらっています)だ。
話を持ちかけたのは僕の方からだった。長引く厳しい状況の中、何か自分に出来ることはないだろうかと相談しているうちに、新しい企画を一緒に立ち上げてみようという話になった。タイトルは「Walls&Bridges」。これはジョン・レノンのアルバムタイトルでもある。邦題は「心の壁、愛の橋」僕はこの日本盤のタイトルがとても好きだった。自分たちミュージシャンと、活動するために不可欠なライブスペース、そしてファンと一緒にこの先の可能性を探っていくことがコンセプトだ。YouTubeチャンネルの開設もその一環ということになる。毎週金曜のプレミア配信には可能な限り僕もリアルタイムで参加するので、チャンネル登録をしてもらえたらとてもうれしい。


今、僕たちミュージシャンをはじめ、エンターテインメントに関わる全ての人たちにとって、かつて経験したことのない厳しい状況が続いている。自分の力は本当に小さいし、世界を変えることなんてないことも知っている。ただ、自分も含め不安や絶望の中に閉じ込められている人が少なからずいることは確かだろう。どんなに小さくても、どんなにちっぽけでも、自分がそんな誰かの役に立つことが出来るかもしれないし、それが自分自身にとっても救いになるかもしれない。なるちゃんと話しているうちに、そう思いはじめた。彼はいくつものヒット曲をはじめ、AKB48の「君はメロディー」ではミリオンセラーを叩き出し様々なヒットチャートの1位を獲得した作曲家でもあるが、そこに行き着くまでの道のりはそれに見合って余りあるほどの苦難の連続だったことを、僕は知っていた。僕たちにしか出来ないことが、あるような気がしてきた。


音楽は衣食住に関わるような、失われるとすぐに日常生活に支障をきたすものではないだろう。でも、音楽は人の気持ち、心に作用するものだ。心はライフラインと同様、もしくはそれ以上に人間が生きていく上で大切なものではないだろうか。
僕は音楽と、それを楽しめる心を取り戻したい。ミュージシャンとして、それ以前にひとりの人間として、必要としてくれる誰かと一緒に、ちょっとやそっとでは壊れない新しくて頑丈な心の橋を作りたい。


「Walls&Bridges」の最初のイベントは2月28日に町田まほろ座で開催し、YouTubeでの無料ライブ配信を予定している。Vol.0としたイベントのタイトルは「Hideki sings L↔︎R」。成瀬英樹と黒沢秀樹、何の偶然か僕たちの名前はふたりともHidekiだ。L↔︎Rは僕が在籍していたグループで、昔の曲をギタリストだった自分が歌うことにはいろんな思いがあったことは事実だが、筋金入りのL↔︎Rファンを自認してくれているなるちゃんからの強いリクエストで心を動かされた。自分の大好きなグループの曲がこのまま誰も歌うことなく消えていってしまうのはとても悲しい。聴き継がれ、歌い継がれていって欲しい曲がたくさんある、ファンのみんなはきっと聴きたいと思っているはずだ、と彼は言った。
何度も話をしているうちに、自分の気持ちはともあれ、よろこんでくれるファンがいるならそれでいいと思えるようになった。もちろん快く思わない人たちがいることも理解しているつもりだが、気がつけば自分は50歳。いつまで音楽が出来るかはわからない、ということが現実味を帯びてくる年齢でもある。いつかではなく、今、自分に出来ることを、少しずつでもやっていけたらと思っている。



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黒沢秀樹
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