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【映画 超ショート時評】デッド・ドント・ダイ

 際限のない消費を宿命づけられているかのように前進運動を繰り返すゾンビたちは、その知の機能を剥ぎ取られた姿を剥き出しにしつつ、「世界は完璧だ。細部まで味わい尽くせ。」という映画の中の格言に従う、剰余享楽につながれた存在としてその姿を先鋭化させる。
 『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』(ジョージ・A・ロメロ, 1968)に最大限のオマージュを捧げながら、既存のゾンビ像を軽やかに脱臼しつつ、守護神のように流れるカントリーミュージック的なテーマ曲と共にスローで緩い空気を最後まで緩めずに描ききった、この何者にも似ていないゾンビ映画は消費社会への痛烈な批評ともなっている!

2019年製作/104分/R15+/スウェーデン・アメリカ合作
原題:The Dead Don't Die
監督:ジョン・フォード

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