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可能性を捨てない

いわゆるデザインフェーズでは、UIデザイナーはプロダクトの提供価値や仕様などの要素を踏まえ、試行錯誤してデザインしていくと思います。
この業務のなかで、自分が心がけている作業のすすめ方についてまとめます。

どの作業?

自分は過去多くの案件において複数のデザインのパターンを展開し、選別や集約を経て最終的に一つに収束させ最適解とする過程を基本としてきました。
その最適解を導き出す過程を分解するとつくるはなすの繰り返しでした。

つくる
デザインツール上で画面デザインを作成する
[併せて]デザインのパターンを展開する
はなす
プロジェクトメンバーたちと会話し、方針を定める

この過程を交互に繰り返し、ときに後戻りすることもありますが、徐々に精度を上げて収束させていきます。
特にUIデザイナーとしてロールと職責のあるつくるにおいてやっていること=デザインのパターン展開について今回焦点をあてたいです。

自分が実践してきたのは、この過程でできる限り可能性を追求しつづけるということでした。
デザイン上、あちらを立てればこちらが立たずのトレードオフになることが少なくないため、集約までの過程でどれだけパターン展開を試行できたかがUIデザイナーの出来るプロダクトへの貢献の鍵と考えています。

観点

当たり前ですが、やみくもにパターン作成しても意味がなく、ただ数を増やすのは目的ではありません。
展開するパターンごとに観点を設定し、その観点はMECEになっていることが理想です。(理想です。)

そして、UIデザイナーとしての観点をベースに、各ロールのメンバーの観点で検討されることも念頭に、はなすの過程が健全にすすめられるよう観点を整理しながらパターンの展開作業をおこないます。
以下のような観点ごとに作成を進めていく場合が多かったです。

1. 何の課題を解決するか/何の目的を達成できるか
2. 何ができて/できないのか
3. その手段・表現は唯一か/代替できるものがあるか

観点の整理としては、1. を頂点にしたピラミッド構造をイメージしています。
1.を設定してorされて、2. で特徴づけ・重み付けをして、3. で展開可能性を検討します。

また、つくる時の観点とはなす時の観点がずれていては意味がありません。
ともすれば、無駄な作業と捉えられかねないからこそ、常にこの観点を意識しながら、全体としては必要十分な作業量を目指します。

粒度

次にパターンを分解する粒度です。
つくるでは作業量に直結しますし、はなすでは議論する単位になり、それによって収束までの道のりが定まります。
デザインツール上でパターンを展開する状況であれば、5段階モデルでいうところの以下がUIデザイナーの主戦場になるかと思います。

・表層
・骨格
・表層×骨格

表層であれば表層に絞り、同じ段階に揃えてのパターン展開が粒度を揃える基本になるかと思います。経験上、段階を横断して展開すると当然の如くはなすでの議論が発散し、時間切れを誘発します。
デザインの実装作業が進捗するなどプロジェクト中盤以降では、表層と骨格をかけ合わせての展開が時間制約上必要となってくるかもしれませんが、デザインのトンマナやガイドラインを既に固めていて、かつ、観点を強く整理して臨まないとリスキーかと思います。段階を踏むのも大事です。

また、単体でなく複数の画面での展開では、以下のような共通項でくくれる粒度に留めることが有効かと思います。

・同じ階層レベル(タブトップレベル同士など)
・同じ機能群


ツールの援用
sketchやfigmaなどUIデザインを主眼においたツールの持つ機能はパターン作成に有用です。特にシンボルなどはデザインの複製と展開のしやすさにおいて画期的な機能なんだろうと思います。
そういったデザインツールをうまく援用することで、フェーズや粒度を問わず、現実的な作業量にすることができています。
可能性を捨てないことは大切ですが、いつでも効率・スピードは大切です。

効用

まず、明確な観点ごとに漏れなくパターン展開がなされているとはなすでの検討が建設的になる点が一番の効用だと思います。
必要な展開が欠けていると、次回に進展が持ち越されるかもしれませんし、進展しても考慮が足りず、後戻りが発生するかもしれません。
展開量が多いと、議論がまとまりきらず、妨げになるかもしれません。
必要十分な展開量によって効用が最大化されます。

また、デザインが具体化されて初めて、筋のよくない発想だったと確認できることも多いと思います。この効用も結構大きく、デザイナー自身もそうだし、各ロールのメンバーにとっても目で見て納得感を得られるのではないでしょうか。

おまじない
頭からアイデアを吐き出すことで、新たなアプローチを考える余地が生まれるのではないかと考えています。デザイナーとして自分の発想の癖や引き出しに左右される部分はどうしてもあるので、それらをいったん具体化し忘れることで、未知の試行ができることを期待する気持ちがあります。

おわりに

クライアントワークをしていると、上記のような過程を精度高く行うことが難しい場合は多くあるかと思います。
クライアントとレビュアー・レビュイーの関係ではなく、パートナーとして共創の関係を志向する環境であればこそ実現可能な過程だと考えているので、現在そういった環境で働けているのは本当にありがたいことです🤝


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