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リアル『バットマン』を目指して

 バットマンは、アメリカン・コミックスに登場する架空のスーパーヒーローです。コミックの他にも、映画・ドラマ・アニメ作品などが作られています。しかし、私が目指しているのは”ヒーローのバットマン”ではありません。今回の記事で扱うバットマンは、アメコミのバットマンではなく、コウモリ男(bat-man)の意味で使っています。

 『はじめの一歩 物理探査学入門』の『地中レーダ』の章で、コラムに書いていますが、音を使って周囲の様子を”視る”ことができる人がいます。ダニエル・キッシュさんは幼少時に目の病気のために失明しましたが、舌打ち音(クリック音)を使って、まるで目が見えるように動き回れるようになりました。彼は、コウモリのように反響定位が使えるので、子供の頃は“バットマン”と渾名あだなされていたそうです。

 本当にそんなことができるのか?、と疑問に思った私は、自ら実験してみることにしました。まずは”舌打ち”の練習です。舌打ちの練習は、朝早い時間に、駐車場から研究室までの移動の間に練習しています。いわゆる”舌打ちの朝練”です。最初のうちは、舌打ちがうまく出来ませんでしたが、試行錯誤で練習していくうちに、まあまあ大きな音が出せるようになりました。しかし、コウモリ男になるためには、舌打ちによって発生させたクリック音の反響音を耳で聞き分けなければなりません。

 これが、なかなか大変でした。脳が目の情報処理に使われているためか、いくら舌打ちしても反響音が聞こえてこないのです。しかし、諦めずに”舌打ちの朝練”を続けていると、ある時、”校舎からの反響音”が微かに聞こえてきました。今では、「大きな建物からの反響音」や、「大きな空間での残響音」を聞き分けられるようになりました。

 しかし、ダニエルさんのように周囲の空間イメージを頭に描くことは、まだ出来ていません。いつになったらできるのかわかりませんが、もう少し”舌打ちの朝練”を続けようと思っています。


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