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石炭 温暖化の元凶?

石炭は固体の化石燃料で、大昔の植物(おもに鱗木)が地下で、長い年月をかけて変化したものです。地中に埋まった植物は、泥炭→亜炭→褐炭→瀝青炭→無煙炭と熟成されていきます。通常使われる石炭は、ほぼ瀝青炭れきせいたんです。地質区分に石炭紀というのがありますが、古い時代の石炭はこの頃に繁茂していた植物が素になっています。石炭は燃料としてだけではなく、製鉄などの原材料(コークス)としても使われています。

私が所属している地球資源システム工学科は、最初は採鉱学科という名前でした。採鉱は石を掘するという意味ですが、この場合の鉱石は石炭を意味していました。九州帝國大学工科大学の採鉱学科は、北部九州の石炭を採掘するための研究と教育のために設置されました。石炭は、石油が主力となる前の重要なエネルギー資源でした。

石炭産業が華やかだったころ、理系の一番人気の会社は三井三池石炭だったそうです。それもそのはず、当時の初任給は一般的な会社の3倍だったそうです。その後、石炭産業が斜陽化すると、相次いで起きる坑内事故などもあり、石炭鉱山の会社は一気に不人気になりました。時代は石炭から石油に切り替わり、さらにオイルショックの頃には地熱などの新エネルギーが注目されるようになりました。そのころ、採鉱学科は資源工学科に名前を変えました。

現在の日本では商業的な石炭鉱山はありませんが、かつては九州や北海道に数多くの炭鉱がありました。私が今住んでいる場所の近くにも、昭和の時代には炭鉱がありました。CO2を多く排出する石炭は、地球環境問題の元凶と考えられていますが、いまだに発電の燃料に使われています。環境に関する国際会議では、このことが問題視され、『化石賞』という不名誉な賞を度々もらっています。

福島の原発事故以降、原子力発電所が稼働できない時期が続いたため、石炭火力発電所を再稼働せざるを得ない、やむを得ない事情がありました。いまは、国際的な紛争による天然ガスの供給不安が継続中です。エネルギー問題は時々刻々と変わります。今後も目が離せない問題です。


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