未来の重力計
光格子時計と呼ばれる世界で最も高精度の時計を東大の香取教授らの研究チームが開発しました(図)。この時計はGPSなどに使われる原子時計の数百倍の精度を持ちます。詳しい仕組みはわかりませんが、レーザ光の力で約1000個のストロンチウム原子を宙に浮かせ、振り子の代わりに利用します。
原子の持っている振動数は一定なので、この原子の振り子を使うと正確な時計が作れるそうです。同じ光格子時計を2台作って、時間のずれを比べた結果、ずれは1ヶ月あたりおよそ約1兆分の5秒で、クオーツ腕時計の1兆倍以上の精度でした。この時計が1秒ずれるには、160億年かかる計算です。もちろんその前に機械の方が壊れるでしょうが…。
アインシュタインの一般相対性理論によれば、物体の移動速度によって時間の進み方が変わります。また、重力の増減によっても時間の進み方が違うことがわかっています。つまり、異なる高さに置かれた2台の時計を比較すると、低い方の時計は地球重力の影響を受けて、高い方の時計よりゆっくりと時を刻みます。
このような重力変化による時間変化はごく小さな量ですが、光格子時計のような超高精度な時計を使えば測定することができます。つまり、超高精度な時計があれば、新しい原理に基づいた重力計を作ることが可能です。将来、光格子時計が腕時計サイズになれば、今より簡単に重力探査が可能となるでしょう。