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世界”物探”遺産の旅#12 アイスランドのギャオ

地球上は、プレートと呼ばれる岩板で覆われていています。このプレートには二種類あって、大陸プレートと海洋プレートに分類できます。プレートは固定されているのではなく、プレート同士が相互に運動しています。それは大地の裂け目から、新しい海洋プレートが誕生し、移動しながら大陸プレートに衝突し、いずれは沈み込んで行きます。このようなプレート間のダイナミックな運動によって、地震や火山活動が起こります。

海洋プレートが誕生する場所は中央海嶺などと呼ばれ、一般的には海底にあります。そのため、直接見ることはできません。ただし世界で一ヶ所、アイスランドだけは、このプレート誕生を目で見て、出来立てホヤホヤのプレートに触れることができます。下図のように、アイスランドの中央には北米プレートとユーラシアプレートの境界があります。ここでは今まさに2つの海洋プレートがゆっくりと誕生しています。この場所は、地元ではギャオと呼ばれ、タイトル図のように”大地の大きな裂け目”のように見えます。タイトル図の場所には水はありませんが、水没している場所ではダイビングすることができて、北米プレートとユーラシアプレートを同時に触ることができます。

アイスランドを縦断するプレート境界

アイスランドのギャオは、地球物理学/地質学にとって重要な場所になっています。アイスランドは地熱活動も盛んなため、地熱発電がおこなわれています。また豊富な地熱を利用して、各家庭への熱水の供給なども行なっています。日本周辺はプレートの沈み込み帯なので大きな地震が多発しますが、アイスランドはプレートの湧き出し口のため、ほとんど大きな地震は起きません。日本からすると、羨ましい場所です。

アイスランドは独立国家ですが、総人口は約36万人で日本の地方都市規模の人口です。少し前までは金融立国で、金融に力を入れていましたが、2008年の金融危機で一気にアイスランド通貨・クローネが暴落しました。しかし、自国通貨安がキッカケとなって観光業が活発になりました。今はIT企業の誘致などを積極的に進めて、経済的にも復興しています。

2020年、世界地熱会議2020がアイスランドで開催予定でしたが、コ〇ナのために開催が翌年に延期されました。私は2020年にアイスランドに行って講演発表するため、ホテルや飛行機の予約をしていましたが、すべてキャンセルすることになって、大変な目に遭いました。結局、アイスランドには行けなかったので、まだギャオを直接見ていません。ちょっと残念です。

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