コラム#7B セルバンテスの遺骨と地中レーダ
読んだことがなくても,風車に戦いを挑む,ちょっと風変わりな老人が主人公の小説「ドン・キホーテ(Don Quijote)」のことは,知っている人が多いと思います.この小説は,今から400年前にスペインの文豪ミゲル・デ・セルバンテス(Miguel de Cervantes)が書いたものです.このセルバンテスの遺骨は永い間行方不明でしたが,2015年にマドリードにある三位一体女子修道院の地下で発見されました.
セルバンテスの遺骨発見のために,法医学者や考古学者らで構成した調査チームが,2014年4月から修道院内部の約200平方メートルの床や壁を,赤外線カメラや地中レーダなどを駆使して調査を行なったそうです.最初に,セルバンテスのイニシャル「M. C.」が記された棺の一部と骨片が,2015年1月に発見されました.さらに調査を続けたところ,地下の壁の窪みから10人分以上の遺骨が発見されました.科学分析の結果,そのうちの遺骨の一部がセルバンテスのものと断定されました.
ドン・キホーテの名言の中にこんな言葉があります.「よく準備してから戦いに臨めば,半ば勝ったも同然だ」.調査チームの万全な準備によって,セルバンテスの遺骨が発見できました.もしセルバンテスが生きていたら,このようなハイテク技術を何と思うでしょうか.