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『鰻の蒸籠蒸し』の思い出

 『うなぎ蒸籠蒸せいろむし』は、福岡を代表するウナギ料理です。うな丼やうな重は全国どこにもありますが、鰻の蒸籠蒸しは福岡県を中心とした北部九州にしかありません。特に、福岡市から少し離れた柳川市が発祥の地であり、本場です。もちろん、最近では福岡市でも食べられますが、どこにでもある料理ではありません。

 鰻の蒸籠蒸しは、通常は『せいろ蒸し』と呼ばれ、”うなぎ”が付かなくても、”うなぎの蒸籠蒸し”のことを指します。その名の通り、簡単に言えば、うなぎとご飯が入った蒸籠を蒸し上げた料理です。ご飯もただのご飯ではなく、鰻のタレが浸みこんでいるタレご飯です。また、蒸すことでウナギがフックラとした食感になっています。

 今日はお昼に、”せいろ蒸し”を食べました。来客があったのと、ゴールデンウイーク中ということもあって、”特上のせいろ蒸し”を食べました。特上のせいろ蒸しは、ご飯とご飯の間にウナギがサンドされ、最上部のご飯の上には錦糸卵とウナギが乗っています。つまり、下からご飯、ウナギ、ご飯、錦糸卵、ウナギの順番で、ウナギのミルフィーユ状態です。

 味もさることながらボリューム満点で、夕方になってもまだ消化しきれていません。これから夕食時間なのですが、通常の食事は無理そうです。

 ”せいろ蒸し”の発祥のお店は、柳川市の『元祖本吉屋もとよしや』だそうです。ネットで調べて知りましたが、今から約330年以上前の1681年に、その調理法が始まったとされています。せいろ蒸しは大好きですが、そんなに歴史があるとは今まで知りませんでした。その当時、江戸で刀鍛冶をしていた『元祖本吉屋』の初代店主が関東で鰻の蒲焼きを知り、柳川に戻って後に”せいろ蒸し”の調理法を考案したそうです。

 私が始めてせいろ蒸しを食べたのは、約40年前の柳川でした。古民家のようなたたずまいだったと記憶しています。ネットに載っていた『元祖本吉屋』さんの写真が、記憶している店に似ているように思いましたが、柳川市内には約30もの店舗があるので、記憶違いかもしれません。

 福岡の『せいろ蒸し』は、名古屋の『ひつまぶし』と遜色ない、日本を代表するウナギ料理だと思います。福岡に来られる際には、是非お試しあれ。

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