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詐欺には気を付けて!

 十年以上前になりますが、大阪地検特捜部から電話がかかってきたことがありました。どうやら、詐欺の裏付け捜査をしているとのことでした。もちろん、詳しくは教えてくれませんが、質問内容から”金鉱発見に絡んだ詐欺”のようでした。

 最初の質問は、「小田二三男教授という方は、九州大学にいますか?」でした。小田先生は九大の教授でしたが、はるか昔に定年退官された、五代前の教授でした。もちろん既に他界されていました。小田先生は日本初の”物理探査学講座”を開設された先生で、私にとっては伝説上の先生です。ですので、そのような内容のことを電話の相手にお答えしました。

 二つ目の質問は、「小田先生が金鉱山を発見されたというのは本当でしょうか?」。それに対しては、「たぶんそのような研究をされていたと思いますが、なにぶん昔のことなのではっきりしたことは分かりません」と答えました。質問はこの二つで、電話はあっけなく終わりました。あとで金山に関する古い論文を調べてみると、小田先生が金鉱床の探査をした論文が見つかりました。

 私の勝手な推測ですが、たぶん”架空の金山開発への投資詐欺”だったんでしょう。上手な詐欺師は、言葉巧みに嘘をつきます。もちろん全てが嘘ではなく、8-9割は本当のことです。おそらく、この詐欺師は金山に関する古い文献を調べて勉強したんだと思います。すると都合よく、旧帝國大学にそれらしい先生がいることを見つけたんだろうと想像します。相手を信用させるためには、権威を利用するのが近道です。

 絶対に儲かるウマい話はありません。大きなリターンを得るためには、大きなリスクを覚悟しないといけません。このような話に騙されないためには、ある程度の基礎知識が必要です。騙された(4000円をドブに捨てた)と思って、私の拙著『はじめの一歩 物理探査学入門』を読んでみて下さい。言って置きますが、これは詐欺ではありません^^。


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