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バークレーの思い出#24 家族の写真

訪問先であるUCバークレーで私を受け入れてくれたのは、電気探査や電磁探査の権威であるM教授でした。しかし、このM教授は超多忙で、日本から来た”ポンコツな訪問研究員”の面倒を見る余裕がありませんでした。

その代わりと言っては語弊がありますが、私の面倒を見てくれたのは、これまた電磁探査の権威であるL博士でした。L博士は韓国出身の在米研究者で、私はアメリカに行く前に面識がありました。同じアジアから来た訪問研究員ということで、親切にも私の世話を焼いてくれました。いまでも、そのことには大変感謝しています。

L博士はUCバークレーの教員ではありませんが、UCバークレー付属のLBNL(ローレンス・バークレー国立研究所)の研究員でした。LBNLはUCバークレーのメインキャンパスから少し離れた丘の上にあるのですが、その当時はLBNLの入口近くの第9ビルに地球科学関係の研究者が集まっていました。

かなりな数の地球科学系研究者が在籍していましたが、第9ビルで個室を持っているのは、限られた人だけでした。多くの研究者は、パーティションで仕切られた研究スペースで研究していました。

ただし、L博士は”エライ研究者”でしたから、個室を持っていました。アメリカの研究所の個室というと大きな部屋を想像しがちですが、LBNLの第9ビルの個室はコジンマリしていて、日本の感覚だと3~4畳程度の広さでした。私が居たのは机と椅子だけのコンパートメントでしたから、2畳くらいしかありませんでした。

L博士の部屋には、研究の打ち合わせや質問等で何度か行きました。その都度、丁寧に接してくれたので本当に助かりました。その訪問時に、ふとL博士の机の上を見ると、小さいお嬢さんの写真がフォトスタンドに入れられて飾られていました。「これは娘が小さい時の写真なんだ」とL博士はニコニコと説明してくれました。その当時、お嬢さんはもう大学生でしたが、小さな子供の時の写真を大事に飾っていました。

そのとき、「何か、ホノボノしてていいなぁ」と思いました。これがキッカケとなって、日本に帰ってからは研究室の自室の机の上に子供の写真を飾ることにしました。その写真は、20年以上経った今でも部屋にあります。

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