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オープンアクセスジャーナルの功罪

オープンアクセスジャーナル(open access journal)は、学術雑誌のうち、オンライン上で無料で閲覧可能な状態に置かれているものを指します。オープンアクセスの定義は曖昧なため、最古のものについては諸説あるが、起源の一つとしてフロリダ昆虫学会の Florida Entomologist が挙げられます。

これまでの論文は、学会が主催する学術誌がメインで、費用の負担は学会に所属する学会員、または学術誌の読者でした。オープンアクセスジャーナルは、それまでとは異なり、多くの場合、著者が費用を負担する形式となっています。最近は、大手出版社からもオープンアクセスジャーナルが出版されるようになり、着実にシェアを増やしています。

論文を読みたい人にとっては、タダは有難いことですが、著者の負担は大きくなりました。オープンアクセスジャーナルでは、 APC (Article Processing Charge)という費用を研究者である著者が支払うことによって出版費用をまかなっています。実をいうと、この費用が馬鹿になりません。

APCは雑誌によりマチマチで、ざっくり言うと100$から1万$の間にあります。最も多い額は、1000$くらいです。最近は円安ですから、APCは益々負担になります。ここ1年位で支払ったAPCは、30万円+15万円+25万円でした。研究費が豊富でリッチな研究室なら問題ありませんが、私のような貧乏研究者にはかなりの負担です。

それから、オープンアクセスジャーナルは、全てが善良というわけではありません。中には、ハゲタカジャーナルと呼ばれる”不埒な”オープンアクセスジャーナルもどきがいます。このハゲタカジャーナルは、査読の信頼性が低く、質の低い論文(あるいはデタラメな論文)でも掲載します。つまり、お金(APC)を出しさえすれば掲載してくれるのです。

最近は少なくなったと思いますが、一時期、業績(論文の数)を増やすために、ハゲタカジャーナルに投稿する数が増えて、問題になったことがありました。 これは業績(論文の数)至上主義がもたらした、罪なのかもしれません。



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