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世界”物探”遺産の旅#13 北極点

北極点とは、自転する地球の最北端、すなわち北緯90°の地点のことです。別の表現で言うと、地球の自転軸と地球表面が交差する2点のうちの1つです。北極点は、歴史時代には北極海の氷上に位置していて、現在ではカフェクルベン島の北713.5kmの海上(氷上)とされています。なお、北極点直下の水深は4,261 m となっています。

北極点に最初に到達した人については、厳密には到達していなかったり、捏造疑惑があったりで、”この人だ”という決め手に欠けているようです。日本人では、1978年4月26日、日本大学山岳部が日本人初の北極点到達を達成しています。また、その三日後、冒険家・植村直己さんが世界初の単独行で北極点到達を達成しました。日本人女性としては、1989年5月10日、女優・和泉雅子さんが初めて(世界の女性でも2人目)北極点に到達しています。

地球の回転軸(地軸)は永久不変ではありません。なぜなら、地軸は地球全体の物質の配置(分布)によって決まるので、質量の分布が変化すると地軸も微妙に変化するからです。例えば、地球表面の温度は地質時代を通じて変動しているので、地球を覆う氷の分布も、時代とともに大きく変化しています。そのため、地球全体としての質量バランスが変化し、地軸は現在のものとは僅かに違った位置にありました。また、このような氷河の形成・融解以外にも、マントル内の物質の対流のため、質量分布が変化して、地軸の変化をもたらしています。

ただし、地軸の変化は数cm程度の微々たるものです。しかし、磁気コンパスが指し示す”磁北”は、下図のように時代と共にかなり大きな変化を示しています。磁北というのは、地球を大きな磁石と考えた時の、北側の極を指します。ここで少しややこしいのですが、磁北は磁石で言えばS極に相当します。物理探査学や地球物理学では、地軸の変化も重要ですが、磁極の変化がより重要です。今は地球のS極が北にありますが、驚くことに、大昔には何度も南側に移動しています。これを地磁気の逆転と言います。

磁北の移動の軌跡


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