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研究者の秘密基地 コラボスペース

”秘密基地”や”隠れ家”という言葉は、大人の中に残っている子供心をくすぐるキラーワードです。

初めて”秘密基地もどき”を作ったのは、小学生の時でした。ある時に、クラスで秘密基地が話題になりました。みんなで話しているうちに盛り上がって来て、その中の一人が「秘密基地を作ろうぜ!」と言い出しました。するともう一人が、「近くに丁度いい竹藪があるぞ」と言いました。あれよあれよという間に、その場のノリで秘密基地を作ることが決定しました。

放課後、竹藪の場所を知っている友達の家に集合して、目的地に出発です。一応、基地の材料となる笹を切れるように、鎌を持って行きました。小学生のやることなので、大したことはできません。竹藪内で切り取った笹を利用して、部屋のような区画を作りました。しかし、屋根まで考えが回らず、開放式の残念な秘密基地になりました。

秘密基地が出来た当初は、みんなで集合して遊んでいましたが、2週間もしたら飽きてしまいました。結局、秘密基地のことは話題に上らなくなりました。

最も豪華で、最先端科学の粋を集めた秘密基地と言えば、サンダーバードの秘密基地であるトレーシーアイランドでしょう。この島は、まるごと国際救助隊・サンダーバードの基地(格納庫)になっています。さすがに、これほどの秘密基地を作るためには莫大な予算が必要ですので、現実的ではありません。

しかし、現在私の研究室では、ナンチャッテ”秘密基地”を持っています。本当は秘密でも何でもなく、九州大学工学部が管理している研究用のコラボスペースです。きちんとしたプロジェクトを進めていて、家賃を払うことができれば年間契約して借りることができます。レンタルスペースの値段は1平米あたり年間1万円です。私の研究室では、80平米の部屋をレンタルしています。なお、研究室では(独)エネルギー・金属鉱物資源機構の地熱探査に関するプロジェクトを受託しているので、その予算で借りることができています。

この部屋は、当研究室がある場所から少し離れた別棟にあります。なので、私はこのレンタルスペースを勝手に”秘密基地”と呼んでいます。ここでは、プロジェクトで試作したMT探査装置に関する実験をしています。今年度は、磁気センサの較正のために直径2m超の大型のヘルムホルツコイルを作りました。

このヘルムホルツコイルの存在感は際立っていて、そこはかとなく”秘密基地の雰囲気”を醸し出しています。

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