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もうすぐノーベル賞

ことしのノーベル賞の発表が10月3日から始まります。いつもこの時期になると、「もしかして・・・」と思ってドキドキします。というのは全くの嘘で、私のような下っ端研究者には、ノーベル賞は無縁の賞です。ノーベルさんが生きていたら、鼻で笑われたかもしれません。

ノーベル賞は、ダイナマイトで莫大な富を築いたアルフレッド・ノーベルさんの遺言を元に創設された賞です。賞の分野としては、物理学賞、化学賞、生理学・医学賞、文学賞、平和賞が創設時からある賞で、途中から経済学賞も加わりました。ノーベルさんは社会に貢献しようとしてダイナマイトを発明したわけですが、陰では”死の商人”などと揶揄されていたようです。そのことを知ったノーベルは、社会に貢献した科学者などを讃えるための賞の創設を思いついたようです。

第1回目のノーベル賞が1901年ですから、優に100年以上が経過しています。第1回目の物理学賞はX線を発見したレントゲンに与えられました。X線の発見は、その後の核物理学の研究に影響を与えただけでなく、非侵襲の医療検査法として人類に多大の貢献をしています。しかしノーベル賞の長い歴史の中では、間違った癌研究に賞を与えたこともありました。このことは賞を選ぶノーベル財団のトラウマになって、その後しばらくは癌研究に対する受賞が見送られました。

今年の受賞者について、イギリスの学術情報サービス会社・クラリベイトが、有力視されている研究者20人を発表しました。そのなかには、3人の日本人研究者も含まれています。その3人とは、生理学医学賞の候補として東京都医学総合研究所脳・神経科学研究分野の長谷川成人まさとさん、物理学賞の候補として物質・材料研究機構の谷口たかしさんと渡辺賢司さんです。長谷川さんは、難病として知られる筋萎縮性側索硬化症(ALS)と前頭側頭葉変性症(FTLD)の病理学的な特徴であるたんぱく質を見つけたそうで、谷口さんと渡辺さんは、ダイヤモンドに次ぐ硬さを持つ六方晶窒化ホウ素の高純度の単結晶をつくる技術を開発したそうです。

実際に受賞しなくても、ノーベル賞受賞者に有力視されるだけでも超一流の研究者であることが判ります。果たして、この予想は当たるでしょうか?。

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