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WHOのヘビマークについて

コロナは依然として猛威を振るい、現在は第七波だそうです。いつまでこのブームは続くのでしょうか?。また、最近はサル痘という新しい伝染病も世界中に広がりつつあると、WHO(World Health Organization:世界保健機構)が警戒しています。WHOは、「すべての人々が可能な最高の健康水準に到達すること」を目的に掲げた国連の機関です。

こんなご時世ですから、ニュースや新聞にWHOが頻繁に出てきます。WHO事務局長のペドロスさんもお茶の間に馴染みの顔(?)になりました。ところで、そのWHOのマークに”不気味なヘビ”が使われていることに気付いたでしょうか?。WHOのマークの中央部には、”杖に巻き付いたヘビ”がデザインされています。

この杖とヘビは、治療の神として知られているギリシャ神話に登場するアスクレピオスと関係があります。アスクレピオスは治療の神として、古代ギリシャ人に崇拝されていました。アスクレピオスは元々は人間でしたが、優れた医術の技で死者すら蘇らせ、後に神の座についたとされています。その医神・アスクレピオスは、下の写真にあるようにヘビが巻き付いた杖を常に持っていました。WHOの説明によると、あの杖と巻き付いたヘビは、アスクレピオス、すなわち医学や医療職を象徴しています。

アスクレピオス

医者といえば忘れてはならない人が、もう一人います。それがヒポクラテスです。ヒポクラテスは、医聖といわれる古代ギリシアの医師で、医者の家に生まれ、ギリシアだけでなく小アジアにも広く旅行して、医学を教えたり、医療を施していたと言われています。ヒポクラテスは実在の人物のようですが、当代最高の医師といわれたという程度しか実像はわかっていません。 60~70巻からなる『ヒポクラテス全集』は彼の没後に編集されたもので、解剖学、婦人や小児の病気、食餌療法や薬物療法、外科などを扱っており、近代まで医学界に大きな影響を与えました。医師の倫理を説いた『ヒポクラテスの誓い』は現在でも医学部の卒業式などで朗読されています。以下は、現実に医学部で使用されているものではなく直訳したヒポクラテスの誓い(日本語訳)です。

医の神アポロン、アスクレーピオス、ヒギエイア、パナケイア、及び全ての神々よ。私自身の能力と判断に従って、この誓約を守ることを誓う。この医術を教えてくれた師を実の親のように敬い、自らの財産を分け与えて、必要ある時には助ける。師の子孫を自身の兄弟のように見て、彼らが学ばんとすれば報酬なしにこの術を教える。著作や講義その他あらゆる方法で、医術の知識を師や自らの息子、また、医の規則に則って誓約で結ばれている弟子達に分かち与え、それ以外の誰にも与えない。自身の能力と判断に従って、患者に利すると思う治療法を選択し、害と知る治療法を決して選択しない。依頼されても人を殺す薬を与えない。同様に婦人を流産させる道具を与えない。生涯を純粋と神聖を貫き、医術を行う。どんな家を訪れる時もそこの自由人と奴隷の相違を問わず、不正を犯すことなく、医術を行う。医に関するか否かに関わらず、他人の生活についての秘密を遵守する。この誓いを守り続ける限り、私は人生と医術とを享受し、全ての人から尊敬されるであろう!。しかし、万が一、この誓いを破る時、私はその反対の運命を賜るだろう。

なんか、ヒポクラテスの思いが伝わって来そうです。ヒポクラテスは長寿だったようで、亡くなった時の年齢として85歳、90歳、104歳、109歳の4説が伝えられています。現代人に当てはめても長寿ですが、古代ギリシャではあり得ないくらいの長寿です。

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