見出し画像

コラム#9B 地球温暖化と永久凍土

 寒冷地で地中の温度が下がり,地盤が岩のように凍結したところが凍土で,凍土がある地帯をツンドラと呼びます.地中の温度が年間を通じて0度以下になると,その凍土が溶けずに永久凍土となります.永久凍土はシベリア,アラスカ,カナダなどの北半球に広く分布し,陸地の約15%に存在するとも言われています.

 近年,二酸化炭素などの温室効果ガスの増大による地球温暖化の影響で,シベリアなどの永久凍土が溶けていることがわかりました.永久凍土にはメタンハイドレートが含まれていて,融解すると強力な温室効果ガスであるメタンや他の炭化水素を大気に放出します.このメタン放出と急激な温暖化などの気候変動には関係があるという指摘もあり,世界的に温暖化を激化させる可能性があると懸念されています.このようなリスクを未然に防ぐため,極域では凍土から放出されるメタンの量を監視する研究も行なわれています.

 メタンハイドレートは,低温・高圧などの条件下で水とメタンからできる,氷に似た包接水和物です.メタンハイドレートは,地球上では永久凍土地帯と深海底に分布し,日本周辺海域にも大量にあると考えられています.このメタンハイドレートは,日本では将来の天然ガス資源として期待されています.しかし,メタンの地球温暖化係数は二酸化炭素の21倍もあるので,地球環境への影響は極めて大きいと言えます.メタンハイドレートの利用にあたっては,メタンハイドレートを大気中に放出させないなどの,周辺環境に影響を与えない資源開発が求められています.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?