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放射能探査

  放射能放射線はしばしば混同され,「放射能がでている」などと誤用されます。放射能とは次に説明する"放射線"を出す能力のことです。放射線とは高エネルギーを持った粒子または電磁波のことで,アルファ線ベータ線ガンマ線中性子線陽子線などの種類があります。レントゲン写真としておなじみのX線も放射線の一種です。放射線は種類によって,物を通り抜ける力(透過力)の強いものと弱いものがあります。放射線の単位には,放射線を出す能力(放射能)に注目した単位「Bq: ベクレル」と,放射線を受ける方に注目した単位「Sv: シーベルト」があり,目的に合わせて使い分けられています。放射性物質は,放射線を出しながら崩壊していきます。そのため放射能の強さは,時間とともに弱くなっていきます。放射能の強さが半分になるまでの時間を半減期といいます。

 放射能探査は,天然放射性鉱物から放射される放射線(主にガンマ線)を地表あるいは空中で計測し,地表あるいは地下の地質構造やウランなどの放射性鉱物の分布などを調べる探査法です。一般に岩石を構成する鉱物にはわずかながらウラントリウムなどの放射性元素が含まれていますが,その放射線の量はごく微弱です。しかし,まれには多量の放射性元素が濃集して存在し,放射性鉱床を形成していることがあります。 また地表付近まで達している断層や破砕帯の上部では,しばしばガンマ線強度が大きくなる現象が認められます。これは,断層や破砕帯などの岩石中の割れ目を通って地下深部から上昇するラドン-222の娘核種であるビスマス-214が地表付近で放出するガンマ線によるためです。これを利用して,シンチレーション計数管やガンマ線スペクトロメーターでガンマ線強度を測定することによって,温泉の通り道となる断層や破砕帯中の割れ目の位置を推定することが可能となります。



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