見出し画像

アンサング偉人伝#12 コンピュータの原型を作ったバベッジ

 解析機関かいせききかん(analytical engine)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。コンピュータの歴史に詳しい人以外は、それって何なの?、と思うでしょう。”解析”という言葉が付いているので、何か数学と関係ありそうなことは分かりますが、何をするものかはピンと来ないはずです。

 解析機関は、イギリス人の数学者、チャールズ・バベッジが設計した、蒸気機関で動くはずだった機械式汎用コンピュータです。現在のコンピュータは当然電気で動きますが、解析エンジンは電気がまだ普及していなかった時代に作られたコンピュータの原型のような機械です。

 『蒸気で動く計算機』というのは画期的なアイデアですが、実用化は出来ませんでした。バベッジは、生まれるのが早すぎたのかもしれません。もしバベッジが20世紀の前半に生まれていたら、コンピュータの実用化はもう少し早まったかもしれません。

 バベッジは、解析機関についてはじめて記述した1837年から、1871年の死去直前まで設計を続けました。資金や技術的な問題もあり、この機械は実際には製作されませんでした。タイトル図は、バベッジの設計図を基にした解析機関のレプリカです。解析機関に匹敵する機能を持つ汎用コンピュータの出現には、バベッジ死後から70年を待たねばなりませんでした。

 バベッジの解析機関を語る場合には、もう一人の人物を語る必要があります。それは、ラブレース伯爵夫人オーガスタ・エイダ・キングです。エイダは、19世紀のイギリスの貴族・数学者で、バベッジの考案した解析機関についての著作で知られています。また、世界初のコンピュータープログラマーとしても知られています。またエイダは、イギリスの有名な詩人・第6代バイロン男爵ジョージ・ゴードン・バイロンの一人娘でもあります。

 このエイダ(Ada)の名前を冠した汎用プログラミング言語があります。Adaは、構造化・静的型付け・命令型・オブジェクト指向の言語の一つで、構文はAlgol系なのでPascal言語の仲間です。

画像1


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?