世界”物探”遺産の旅#14 ピサの斜塔
今回は、わざわざ世界物探遺産に指定しなくても、堂々とした世界遺産であるピサの斜塔について書きます。ピサの斜塔については、以前別の記事で書いています↓↓。
ピサの斜塔は、イタリアのピサ市にあるピサ大聖堂の鐘楼であり、世界遺産『ピサのドゥオモ広場』を構成する超有名な観光スポットです。高さは地上55.86m、階段は296段あり、重量は14,453tです。ピサの斜塔は完成時から傾き続け、一時は傾斜の増大と倒壊の危惧がありましたが、その後の処置によって、当分は問題ないと判断されています。
最も傾いた時には、傾斜が5.5度もありましたが、1990年から2001年の間に行われた工事によって、現在は約3.97度に是正されています。1990年の改修工事前に行われた地質調査によると、傾斜の原因が地盤の土質が極めて不均質であったこととわかりました。この場所は、元々が軟弱な地盤ですが、南側の土質が相対的にやわらかかったため年月を経るうちに傾き始め、最終的に塔の南側が大きく沈下するという事態に陥ったようです。
建設当時には、物理探査という技術はありませんでしたが、もし物理探査が当時あれば、このような軟弱な地盤の上に、このような高層の塔を建てなかったでしょう。しかし、傾いていなければ、”普通の高い塔”で終わっていた可能性もあります。ギネスブックでは、世界中で最も傾斜している建物と長らく認識されていましたが、現在のギネス世界記録は15世紀に建造されたドイツ北西部エムデンの付近にある教会の尖塔(ズールフーゼンの斜塔)になっています。
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