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ぶったん四方山話#6 目の力

 視力の測定方法には様々な方法があります。私が小学校の頃は、ひらがなを読む方法が一般的でした。学校の保健室にも眼科にあるものと同じものが置いてありました。確か左端の列は上から、”りさつくけてへこいりぬ・・・”だったと記憶しています。

 今は、大きさの異なる“C”の形をした環が開いている方向を識別する事で測定するランドルト環が用いられています。ランドルト環での視力検査では、5mの距離から約1.45mmの切れ目を判別できると視力1.0とされます。昔は悪くても1.5、調子がいいと2.0くらいありました。今は近視と乱視が進んで、裸眼では0.1-0.2がやっとです。ランドルト環では、切れ目の方向を上下左右で応えるのですが、昔、麦粒腫ものもらいの治療で眼科に行ったときに、隣で視力検査をしていたおばあちゃんが「」と答えていたのを聞いてビックリしたことがあります。

 視力とは少し違いますが、目の能力で驚いた経験があります。九州大学では、国際地熱研修コースを過去に30年ほど継続していました。地熱研修コースでは、地熱開発を学ぼうとする発展途上国からの研修生を集めて、地熱の基礎や応用を教えます。この間には、多くの海外研修生を受け入れ、日本の地熱地域で実際の探査装置を使った物理探査の実習を行なっていました。

 ある年の研修では、ケニアの研修生が実習に参加していました。この時の実習では、準備作業に手間取って、夕暮れが迫っていました。何とか測定を終わらせましたが、すでに足元も見え難いほど暗くなっていました。測定装置を回収して帰ろうとする私達を見て、ケニアの研修生が言いました。「どうして実験をやめるんだ。まだ明るいじゃないか?」。我々には暗闇に近い状況でしたが、ケニアの研修生には普通に見える明るさ(暗さ)だったみたいです。ケニアの人には、視力が桁外れに良い人がいるのは知っていましたが、暗さにも強いことを知りました。

 たった1回の経験なので、たまたま彼が暗闇に強かっただけかもしれません。ですので、ケニアの人がみんなこうだと言っている訳ではありません。悪しからず。普段明るい光あふれた環境に慣れた我々には、山中での暗闇は恐怖に感じてしまいます。文明社会に慣れると、野生の生存本能が薄まってしまうのかもしれません。

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