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数学の小ネタ#21 ルーローの三角形

”ルーローの三角形”という言葉を聞いたことがあるでしょうか?。タイトル図のように丸みを帯びた三角形は、どんな向きにしても幅が変わりません。そのため、自転車の車輪としても使用することが可能です。このような、幅がいつも同じ図形を定幅ていふく図形と言います。

このおにぎりセンベイみたいな形の三角形は、19世紀にドイツ人のフランツ・ルーローが考案した図形です。作画方法は簡単で、正三角形の頂点を中心にして、一辺が半径となる円をコンパスで描くだけです。この丸みを帯びた部分(円弧)を三辺に持つのが、ルーローの三角形になります。

「マンホールのフタはなぜ丸い?」という問いの数学的な答えは、円が最も基本的な定幅図形で、どの方向からも穴に落ちないからです。”基本的”と書いたのは、そうじゃない定幅図形があるからです。そうです、それがルーローの三角形です。ルーローの三角形なら円形のフタと同じく、穴に落ちることはありません。ただし、加工の面で円形より手間がかかるので採用されていません。

ルーローの三角形は、ピストン方式とは構造が違うロータリーエンジンの回転子に使われています。ルーローの三角形のお陰で三角形の回転子がエンジンのシリンダー内を滑らかに動くことができます。ルーローの三角形は、おそうじロボットの形状にも採用されています。円形の代りにこの形状にすると、部屋の隅にまで入り込んで掃除をすることができます。

ルーローの図形は、三角形だけでなく多角形バージョンもあります。これらは、ルーローの多角形と総称されています。海外では、ルーローの三角形や七角形などの形をした硬貨もあります。この形だと、自販機の硬貨の通り道でもスムーズに通過できるのだそうです。

そう言えば海外の多角形のコインを持っていたのを思い出して、ごそごそと探し出してみると、オーストラリアの12角形のコインが出てきました。ただし、よく見ると丸みを帯びたルーロー図形ではなく、単なる正12角形でした。残念。

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