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アナロジカル・シンキング

アナロジカル・シンキング(analogical thinking)とは、戦略的意思決定の際にアナロジー(類推)を用いて考える方法です。もう少し簡単に説明すると、考えたいアイデアがあったときに、似ている性質や構造を持った別の領域から必要な要素を借りてくることで、アイデアを発展させる思考法のことです。これは、最近ビジネスの世界で使われるようになった言葉です。

アナロジカル・シンキングに似た言葉で、ロジカル・シンキング(logical thinking)というのがあります。こらは論理的思考のことで、いわば当たり前の思考方法です。論理的思考は大事ですが、それに囚われていると、ありききたりなアイデアしか生み出せなくなり、エッジの効いたアイディアは出てきません。論理的思考では辿り着けない、飛躍した発想を得るための思考法がアナロジカル・シンキングです。

アナロジカル・シンキングの肝となるアナロジー(類推・類似;analogy)とは、特定の事物に基づく情報を、他の特定の事物へ、それらの間の何らかの類似に基づいて適用する認知過程です。この言葉は、古代ギリシャ語で”比例”を意味するアナロギアといった概念に由来するそうです。ちなみにデジタルの対義語であるアナログの語源もアナロジーです。

科学技術の世界でも、アナロジカル・シンキングは重要ですし、アナロジーを利用したものが数多くあります。特に、生物の機能を真似た科学技術は多く、鳥の飛行を真似た飛行機↑↑はその代表です。このような生物を真似した技術を生物模倣(バイオミメティクス;biomimetics)と呼んでいます。物理探査学の分野でも、コウモリの反響定位は弾性波探査や地中レーダ探査の原理になっています。

また、別々の物理現象でも、類似点に着目すると理解しやすい場合があります。電気抵抗は、対象となる物質の”長さ”や”断面積”に依存しています。この時、電流を水の流れである”水流”のアナロジーを利用すると理解できます。水流では、水の抵抗を”ホースに流す水流”で考えます。ホースの断面積が大きい場合(太いホース)の場合、水を流すことは容易です。つまり、この場合は水流の抵抗が小さいことになります。また、長いホースは、水流を流し難いので水流の抵抗が大きくなります。このような水流の抵抗は、電流の抵抗(電気抵抗)と全く同じように考えることができます。物理学では、アナロジーは重要な考え方です。

ところで、アナロジーをキーボードで打ち込もうとしていたら、間違って漢字に変換され、”穴路地”と表示されました。穴路地軽真禁具、夜露死苦。

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