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「第9章 地温探査」の扉

 アジアだけに生息するオオスズメバチは,ニホンミツバチを含むトウヨウミツバチの天敵です.しかし,ミツバチも黙ってやられているだけではありません.トウヨウミツバチは進化の過程で,オオスズメバチへの対抗手段である必殺技を獲得しました.スズメバチが巣の中に不法侵入すると,直ちに大勢のミツバチがスズメバチを取り囲み,蜂球(ほうきゅう)と呼ばれる塊をつくり,48℃前後の熱でスズメバチを熱死させるのです.

 写真には写っていませんが,この蜂球の中心にスズメバチがいます.取り囲まれたスズメバチの上限致死温度は45℃前後ですが,ニホンミツバチの上限致死温度は50℃程度なので,ミツバチが死ぬことはありません.弱者がいつまでも弱者ではないという好例です.しかし,激化する地球温暖化に適応して,耐熱性の体を持ったオオスズメバチが現れるかもしれません.少し怖い気もしますが,生物進化の今後が楽しみです.


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