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コラム#6A 二条城の謎

 二条城は,京都の街の中心にあり,多くの観光客が訪れる観光スポットです.二条城は,1602年に徳川家康が各地の諸大名を総動員して築城させた名城です(図左).京都の町並みは,二条城が建てられる700年以上前に桓武天皇によって造営されました.当時の都である平安京は,北極星を基準にして方位を決めて,碁盤の目の路を造営したと考えられています.しかし,二条城は南北に走る路に対して軸が約3度東に傾いています.その傾きは,地図で確認すると良くわかります(図右).

 徳川家康が二条城造営に方位磁針という当時の最新技術を導入した,という説があります.方位磁針が示す北は時代と共に変化し,現在は真北から西に7度傾いていますが,二条城造営当時の京都では真北から東に3度傾いていました.これが二条城の3度の傾きの原因だとする説がありますが,確かな証拠は無いようです.徳川家康は,西洋から伝わった最新技術を使って測定しているのだから,大昔に造営された南北に走る路の方が傾いていると思ったのかもしれません.もちろん,証拠はありませんが.

 蛇足ですが,京都から遠く離れた仙台の伊達政宗のお墓から,方位磁針が発見されて話題になったことがあります.おそらく,正宗がヨーロッパに送った遣欧使節団が持ち帰ったものでしょう.仙台城築城にも,方位磁石が使われたとする説があります.


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