見出し画像

勝利至上主義の弊害

現在開催中のパリオリンピックでは、様々な国から来た選手による熱戦が繰り広げられています。下馬評ではメダル候補といわれた有力選手でも、早々と負けてしまったりする場合もでています。勝負は時の運にもより、勝つ選手がいれば負ける選手もいます。数から言えば負ける選手の方が多いのがオリンピックのような大きなスポーツ大会です。

勝利至上主義という考えがあります。これは、スポーツ競技などで、相手に勝つことを絶対的な目標とする考え方です。勝利を目指すことは悪い事ではありませんが、”勝利こそ全てである/負けには意味が無い”というのは極端な考え方です。この考えに陥ると、スポーツ指導者による選手への行き過ぎた指導や長時間の練習、場合によっては体罰やハラスメントなどをもたらします。

また選手側にも、「勝てば何しても良いんでしょ」みたいな、偏向した考え方を助長します。これが、日常的なルール無視や試合時での反則などにつながります。日大アメフト部の不正タックル事件は、大きな社会問題にもなりました。今回のオリンピックでも、”反則疑惑”は少なくないようです。

勝利至上主義は、スポーツを観戦する側にも関係します。女子サッカーの予選リーグで、日本チームがブラジルチームに逆転勝ちしました。勝った日本チームは歓喜し、負けたブラジルチームは落胆したでしょう。しかし、ブラジルを応援すべき、ブラジルのサッカーファンの人達の行動がチョッといただけません。以下はブラジル敗戦に対するブラジルチームへの書き込みです。

「重要な大会に参加する資格すらないクソチーム」
「真実は、この女子代表も男子代表と同じぐらい酷いということだ」
「あんな試合で負けるなんてありえない。愚かなミスだ」
「フィールド上では完全に無力なチーム、すべてを失った。恥を知れ」
「次の試合は現世界王者スペインとの対戦だ。安らかに眠れ」
「このホラー番組を見て貴重な時間を無駄にした」
「何かを信じるなんて愚かだ。正直、もう無理」

ブラジルチームを非難するSNSの書き込みの例

悔しい気持ちは理解できますが、これはいけません。キレイごとと言われるかもしれませんが、全力で戦った勝者にも敗者にも称賛が送られるべきです。金メダルは最高の成果ですが、その成果のために努力する過程も”金メダル級”に素晴らしいことだと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?