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ミリしら物理探査

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物理探査を1ミリも知らない人に、物理探査に関する専門用語を解説します。
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#シミュレーション

ミリしら物理探査#24 偏微分方程式

 物理探査に限りませんが、物理現象をシミュレートする場合、その物理現象を表わす数学モデルを考える必要があります。複雑な物理現象でも、その基本的な振る舞いは、シンプルな方程式で記述することができます。これらの方程式は、1次元構造などの単純な場合を除けば、偏微分方程式になります。  物理探査の王道である弾性波探査の基礎微分方程式は、波動方程式になります。波動方程式は、波動や振動の現象を表わす方程式で、位相速度s、変位uを使って以下のように表せます。  重力探査、磁気探査、電気

ミリしら物理探査#12 順解析と逆解析

 物理的な現象(物理モデル)は複雑ですが、適切な仮定を設定すると、比較的きれいな数理モデルに落とし込むことができます。多くの場合、この数理モデルは微分方程式や偏微分方程式になります。  この微分方程式/偏微分方程式を、解析的に解けるのは、簡単なモデルに限定されます。「解析的に解ける」というのは、「数式で表せる」ということと同義です。解析的に解ける問題も重要ですが、もっと重要なのは解析的に解けない複雑な問題です。  解析的に解けない数理モデルは、数値的に解く必要があります。

ミリしら物理探査#5 『インバージョン』

 様々な物理探査を実施すると、地下の物性値に応じた測定値が得られます。例えば、重力探査を行なえば、重力値が測定できて、多くの重力補正のあとで、重力異常が計算できます。この重力異常から、地下の密度分布を推定するのですが、この推定には2つのアプローチがあります。  1つ目は順解析というアプローチです。地下の密度分布が決まれば、理論的な重力異常が、数値計算によって求められます。これがシミュレーションです。シミュレーションをシュミレーションと間違う人がいますが、英語のsimulat