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ミリしら物理探査

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物理探査を1ミリも知らない人に、物理探査に関する専門用語を解説します。
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#比抵抗法

ミリしら物理探査#34 遺跡の探査

 Wikipediaには、”遺跡とは過去の人々の生活の痕跡がまとまって面的に残存しているもの、および工作物、建築物、土木構造物の単体の痕跡、施設の痕跡、もしくはそれらが集まって一体になっているものを指す”と書いています。つまり、遺構や遺物が過去の痕跡として残存している場所が、遺跡になります。  遺跡探査では、遺跡の地下にある遺構や遺物を探します。遺構には、古墳・住居址・水田跡などがあり、遺物には鉄剣・銅鏡・馬具などがあります。物理探査でこれらの遺構や遺物を探す場合には、遺構

ミリしら物理探査#29 受動と能動

 物理探査には数多くの手法がありますが、2つに大別すれば受動的な方法と能動的な方法に分けられます。受動的(passive)な方法は、自然(天然)の物理現象を利用する方法で、能動的(active)な方法は、人工的な送信源を利用する方法です。  例えば、電気探査ではSP法(自然電位法)は受動的な方法になりますし、比抵抗法はトランスミッタを使って地面に電流を流すので能動的な方法になります。  また電磁探査では、MT法(地磁気地電流法)は、自然の電磁場応答を利用するので受動的な

ミリしら物理探査#18 アーチーの式

 岩石の比抵抗(resistivity)と孔隙率(porosity)の間には密接な関係があります。一見、岩石には電気が流れないような印象を持つと思いますが、そうでもありません。岩石を顕微鏡で観察すると、微細な穴(孔隙)が空いていて、その孔隙中には水が含まれています。なお、岩石中の体積に占める孔隙の体積の割合を孔隙率と言います。一般的な岩石の孔隙率は、数%から数十%程度です。この孔隙中の水の存在によって、岩石には電気が流れます。この”岩石の比抵抗と孔隙率の関係”を、実験的に証明