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ミリしら物理探査

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物理探査を1ミリも知らない人に、物理探査に関する専門用語を解説します。
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#インバージョン

ミリしら物理探査#14 優決定と劣決定

 物理探査の最終的な目的は、観測値から地下構造を推定することです。このデータ解析のことを、インバージョン(逆解析)と読んでいます。観測値と地下構造のパラメータ(比抵抗分布や密度分布など)の関係は、様々な仮定を考慮して、最終的にはy=Axのような線型方程式に帰着します。ここで、yは観測値ベクトル、xは地下構造パラメータ、Aはヤコビアン(感度行列)となります。大変申し訳ありませんが、この辺りの文章の意味が理解できない人は、線形代数や最小二乗法を勉強してからお読みくださいm(_ _

ミリしら物理探査#12 順解析と逆解析

 物理的な現象(物理モデル)は複雑ですが、適切な仮定を設定すると、比較的きれいな数理モデルに落とし込むことができます。多くの場合、この数理モデルは微分方程式や偏微分方程式になります。  この微分方程式/偏微分方程式を、解析的に解けるのは、簡単なモデルに限定されます。「解析的に解ける」というのは、「数式で表せる」ということと同義です。解析的に解ける問題も重要ですが、もっと重要なのは解析的に解けない複雑な問題です。  解析的に解けない数理モデルは、数値的に解く必要があります。

ミリしら物理探査#5 『インバージョン』

 様々な物理探査を実施すると、地下の物性値に応じた測定値が得られます。例えば、重力探査を行なえば、重力値が測定できて、多くの重力補正のあとで、重力異常が計算できます。この重力異常から、地下の密度分布を推定するのですが、この推定には2つのアプローチがあります。  1つ目は順解析というアプローチです。地下の密度分布が決まれば、理論的な重力異常が、数値計算によって求められます。これがシミュレーションです。シミュレーションをシュミレーションと間違う人がいますが、英語のsimulat