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ぶったん四方山話

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これまでに経験した物理探査にまつわるエピソードを紹介します。
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2022年8月の記事一覧

世界”物探”遺産の旅#14 ピサの斜塔

今回は、わざわざ世界物探遺産に指定しなくても、堂々とした世界遺産であるピサの斜塔について書きます。ピサの斜塔については、以前別の記事で書いています↓↓。 ピサの斜塔は、イタリアのピサ市にあるピサ大聖堂の鐘楼であり、世界遺産『ピサのドゥオモ広場』を構成する超有名な観光スポットです。高さは地上55.86m、階段は296段あり、重量は14,453tです。ピサの斜塔は完成時から傾き続け、一時は傾斜の増大と倒壊の危惧がありましたが、その後の処置によって、当分は問題ないと判断されていま

世界”物探”遺産の旅#13 北極点

北極点とは、自転する地球の最北端、すなわち北緯90°の地点のことです。別の表現で言うと、地球の自転軸と地球表面が交差する2点のうちの1つです。北極点は、歴史時代には北極海の氷上に位置していて、現在ではカフェクルベン島の北713.5kmの海上(氷上)とされています。なお、北極点直下の水深は4,261 m となっています。 北極点に最初に到達した人については、厳密には到達していなかったり、捏造疑惑があったりで、”この人だ”という決め手に欠けているようです。日本人では、1978年

ぶったん四方山話#13 地雷を踏むな!

地雷には2種類あって、対戦車地雷と対人地雷に分類できます。対戦車地雷は、その名の通り戦車の爆破が目的なので、ある程度の重さ以上でないと踏んでも爆発しません。それに対して対人地雷は、敵の殺傷が目的ではなく、負傷者を増やして敵の戦闘力を削減するのが目的とされています。そのため、対人地雷を踏んだ兵士や民間人は手足が損傷しても、生き延びることが多いのです。それゆえ、対人地雷は”非人道的な兵器”と呼ばれています。 イギリスのダイアナ妃が生前、対人地雷の撲滅に力を入れていたこともあって

世界”物探”遺産の旅#12 アイスランドのギャオ

地球上は、プレートと呼ばれる岩板で覆われていています。このプレートには二種類あって、大陸プレートと海洋プレートに分類できます。プレートは固定されているのではなく、プレート同士が相互に運動しています。それは大地の裂け目から、新しい海洋プレートが誕生し、移動しながら大陸プレートに衝突し、いずれは沈み込んで行きます。このようなプレート間のダイナミックな運動によって、地震や火山活動が起こります。 海洋プレートが誕生する場所は中央海嶺などと呼ばれ、一般的には海底にあります。そのため、

世界”物探”遺産の旅#11 モザンビークのCabora Bassa送電線

モザンビークの南部から南アフリカ共和国の北部にかけて、Cabora Bassa送電線という長い送電線があります。この電線の北端は川の上流部にあるので、たぶん水力発電腫からの電気を送るための送電線だと思われます。この送電線を使った”大規模な電気探査・比抵抗法”が実施されました。 通常の電気探査の電極間隔は、数mから数百mで、長い場合でもせいぜい数kmです。しかし、1973年から1975年にかけて、アフリカ南部(モザンビークから南アフリカ共和国)の送電線を使って電極間隔が30k

世界”物探”遺産の旅#10 スウェーデン・キルナ

キルナ(Kiruna)は、スウェーデンで最も北に位置する人口2万ちょっとの町です。キルナの市章には鉄とライチョウが描かれていますが、これはキルナ鉄山が街にとっての主要な産業であることを表わしています。キルナは、いまでも鉱山事業が盛んです。 キルナがスウェーデンの市になったのは1948年であり、当時は世界で最も面積の広い市だったそうです。現在はオーストラリア・クイーンズランド州のマウントアイザに続いて2番目に広い市となっています。このマウントアイザもキルナ同様の鉱山業の町です