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ぶったん箸休め

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物理探査のことを略して、物探(ぶったん)と呼びます。ここでは、物探とチョッとだけ関係ある話題を集めました。智の箸休めです。楽しんで下さい。
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#重力探査

月と重力探査

 割と朝早く出勤しますが、自宅を出る時にはまだ月が煌々と輝いていました。月は地球の衛星ですが、本星である地球との大きさが他の星々の衛星とは大きく異なります。月は衛星としては、異常に大きいのです。月の大きさは長い間ナゾでしたが、ジャイアントインパクト説で説明ができそうな状況です。大昔、原始地球に火星大の星が衝突しました。この時に、地球とこの星がいったん壊れて再構成されました。それが、今の地球と月です。  コンピュータを使ったシミュレーションでも、天体の衝突+破壊+再構成が再現

ぶったん偉人伝#1 エトベス

 エトベス・ロラーンド(Eötvös Loránd)は、日本人にはあまり馴染みが無いかもしれませんが、ハンガリーの物理学者です。正式な名前は、ヴァーシャーロシュナメーニ男爵エトベス・ロラーンドだそうです。日本では爵位制度は現在はありませんが、エトベスさんは男爵だったようです。日本語読みでは、姓をエートヴェシュ、エトベシュ、エトベスなどと表記されたりしますが、ここでは発音しやすいエトベスで統一します。名前の方は少し間違いやすいのですが、ローランド(×)ではなくロラーンド(〇)で

未来の重力計

 光格子時計と呼ばれる世界で最も高精度の時計を東大の香取教授らの研究チームが開発しました(図)。この時計はGPSなどに使われる原子時計の数百倍の精度を持ちます。詳しい仕組みはわかりませんが、レーザ光の力で約1000個のストロンチウム原子を宙に浮かせ、振り子の代わりに利用します。  原子の持っている振動数は一定なので、この原子の振り子を使うと正確な時計が作れるそうです。同じ光格子時計を2台作って、時間のずれを比べた結果、ずれは1ヶ月あたりおよそ約1兆分の5秒で、クオーツ腕時計