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「叩く社会」で日本が死ぬ理由
日本では、何か少しでも「失敗」とカテゴリー分けされるようなことをすると社会からボコボコに叩かれるという現象が散見される。
これだけが決して原因ではないが、最近の日本が元気のない理由について、「文化」の視点からこの現象を読み解いていこう。
世代を経るごとに進化する
私たち人間は、そもそも文化的な生き物で、その技術や知識などが人から人へ、そして世代を超えて伝わっていったことで進化してきた。詳しくは今度書こうと思うが、現在のネットワークも様々なシステムが組み合わさってできたもので、一人の天才が作り上げたものではない。
ハーバード大学のジョセフ・ヘンリック教授とマイケル・ムスクリシュナの実験では、「一人を手本にする場合」VS「5人を手本にする場合」で、比較をした。つまり手本にする相手が少ないのか多いのか。それによって、技術がどれだけ伝達されるのかを調べた実験である。
具体的には、お手本にする作業を10回繰り返し(10世代分)、画像編集スキルがどのように変化していくのかを調べた。
結果としては、10世代目になると、「一人を手本にする場合」の最も上手な人よりも「5人を手本にする場合」の最も下手な人の方がスコアが高かった。
つまり、前提条件としては、私たちは人々と混じり合いながら、進化していくということである。
失敗をたたく文化だと?
ある思考実験を紹介する。文化は蓄積されていくものではあるが、弟子が師匠を超えることは難しい。2つのパターンを想定して、どんな環境が文化を進化させていくのか見ていく。
①テストのスコアで100点を出す名人が、初心者100人に訓練してもらう。名人が死ぬまでに弟子たちは95%を習得する。つまりテストのスコアは95点である。この95点の弟子がまた初心者に教えていく。
これを20世代にわたって続けると・・・なんとテストのスコアは35点になる。技術がすべて伝わるわけではないので、トップを押し上げないとどんどん劣化していくのだ。
しかし、今度の例は違う。
②今回は、初心者の9割に80%の名人の技術が受け継がれ、1割の初心者に105%の技術が受け継がれた(名人を追い越した!)とする。
そして、この優秀な弟子の一人がまた次の世代を訓練するというのを20世代にわたり繰り返すと・・・なんとテストのスコアが全員200%を超えるようになる(下手な人でも最初の名人2倍のスコア!)。
まとめると
みんなにそれなりの無難な教育を受けさせると、技術などはすべて伝わるわけではないから、衰退していく可能性が高い。
でも、多少の失敗覚悟でイノベーションを起こす存在が出てくると、それを手本にして次の世代の進歩につながる。
ということで、大人たちは他の大人たちに対しても、子どもに対しても「失敗」に反応するのではなく、「挑戦しなかったこと」に対して声を上げる必要があるのではないでしょうか?
もちろん、法律は守らないといけないのですが。
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