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心理的安全性とアサーティブネスの関係

今日はコーチングにおける重要ポイントである「アサーティブネス」について、心理的安全性の視点から考えてみたいと思います。

~~ アサーティブネスとは ~~

コーチングでは、「アサーティブネス」を「自分と相手をお互いに尊重しながら、自分の言いたいことを伝え、物事を前進させていくこと」と定義しています。
 
大事なポイントは、「自分の言いたいことを伝える」だけではダメで、自分が伝えたことが「受入れられている」ことが必要です。
 
そのために、相手を尊重する。
自分がアカウンタブル(主体的になる)。
そして相手もアカウンタブルになってもらう。
その結果、Win Winの関係を構築するコミュニケーションです。
 
自分の言いたいことを伝えることは単なる「自己主張」と捉えられ、日本社会ではまだ「わがまま」とか、「自分勝手」と思われることが多い様です。
 
「心理的安全性」の無い状況では、それによって「嫌われてしまう恐れ」が心理的リスクとして頭をもたげ、自分の気持ちを抑えてしまうわけですね。
  
ところが、「自己主張をしない」ことで私達は知らない間にリスクを冒しています。
 
ある調査では、自己主張をしてこなかった人には、次の様な傾向が見られるそうです。
 
・自分の意見や自分自身に自信を持つことができない。
・自分の気持ちを抑え込むことで、ストレスや怒りの感情が常にある。
・自分が本当にやりたいことが分からなくなってしまう。
・結果を他人のせいにして、被害者的立場に自分を置く。
・自分の人生を自分ではコントロールできないと感じてしまう。
などです。
 
そして、内なる心は自分に対して・・・
「私はこうしたい。でもきっと私には無理だ。」
「あの人にはきっと受入れてもらえないだろう」
と語りかけ、可能性を諦めたり、他責の念を持つことで、自分の歩く道を見失ってしまいます。
 
さらに、周囲の人達への影響もあります。
あなたが意見や主張を伝えなかったことで、相手が失うものは何でしょう?
 
今、コーチングの教科書の「アサーティブネス」の章を読み返してみると、
改めてその重要性を認識すると共に、それが「心理的安全性」が目指している方向と大きく重なることに気づきます。
 
アサーティブネスの効果と、それを許容する組織、人間関係の構築がいかに大切かということですね。  

~~ 「何でも言ってね」と、言われても・・・ ~~

ですから、
「心理的安全性のある環境ですからね。発言への遠慮は無用ですよ。」
「何でも言って来てくださいね。」
 
というのは、単に「自己主張OK」と言っているだけで、自分の主体性や相手への尊重、相手の主体性の喚起、など、アサーティブネス的な視点が欠けると、「主張」という、未だに多くの日本人が苦手とする感情がブレーキとなりかねません。
 
そして相手が受入れてくれなければ、いくら主張しても前に進めません。
 ハッキリ意見を述べた、ストレートに表現した、ロジカルに話した。よく言った!アサーティブネス度満点!
 
しかし、聞いている方がノラリクラリで一向に議論が前に進まない。どこかで見た光景ではないですか?
 そう、日本の国会答弁ですよ(思わず言っちゃいましたが・・・)  

~~ 自分のアサーティブネス度を計ってみる ~~

拙著「ニッポンIT株式会社」で、アサーティブネスの大切さについて触れ、論理的に、感情を交えず、さわやかに、と限定的な説明をいたしましたが、実は、自己主張をするという発信側だけの考えではないのです。
 
コーチングの中では、アサーティブネスの度合いを以下の様な設問への回答で計っています。
あなたはいくつ「はい」があるでしょう?
 
1.        自分の考え方を積極的に相手に伝えている。
2.        相手からの要求に対し、無理なものは断っている。
3.        必要であれば、相手からの建設的な批判や、自分に対する提案を受入れている。
4.        必要な時に援助を求めている。
5.        自分の意見や考えには価値があると感じている。
6.        相手がより良い問題解決策を持っていれば、直ぐにそれを受入れている
7.        相手との意見が異なるときでも、自分の考え方を伝えている。
8.        自分の考えていること、感じていること、思っていることを正直に相手に伝えている。
9.        会議では必ず自分の意見を発言している。
10.     初対面の人にも自分から話しかけている。
11.     多くの人の前であっても、自分が伝えたいことを伝えている。
12.     自分の伝えたいことと感情を切り離して伝えている。
13.     同僚や上司に自分の価値観に合わないことを強要された場合は、
ノーと言っている。
 
こうしてみると、アサーティブネスが「自己主張」のみで形成されているわけではないことが見えてきます。
 
上記項目の、
3. 必要であれば、相手からの建設的な批判や、自分に対する提案を受入れている。
4. 必要な時に援助を求めている。
5. 自分の意見や考えには価値があると感じている。
6. 相手がより良い問題解決策を持っていれば、直ぐにそれを受入れている
10. 初対面の人にも自分から話しかけている。
 
などは、正に心理的安全性の高いチームを体現する様な行動ではないでしょうか?
 
コーチングセッションでは頻繁に、
・アサーティブネスを育むには?
・何故アサーティブになれないか?
 
などのテーマで、具体的な事例を伺いながら、相手の立場について質問してみたり、その時の感情や考えを言語化してもらったりしながら、コミュニケーションの視野を広げていくことが少なくありません。
 
「心理的安全性」がキーワードになっている昨今、「では、それが実現した環境でどの様な視点で自己主張をすればより生産的でWin Winになれるか?」ということがコーチングセッションのテーマに取り上げられることが
多くなってくるのではないかと思っています。
 
安藤秀樹
株式会社ドリームパイプライン代表

公式ホームページ: https://dreampipeline.com
お問い合わせ先: hideki.ando@dreampl.com

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