映画を観た記録42 2023年4月30日   ジャン・ピエール・メルヴィル『サムライ』

Amazon Prime Videoでジャン・ピエール・メルヴィル『サムライ』を観る。

主人公の殺し屋をアラン・ドロンが演じる。アラン・ドロンは運動神経が良いことがわかる。物静かな殺し屋という感じが出ていて、単なる二枚目スターではないこともわかる。

本作品の特徴は画面設計である。影が果てしなく黒を出している。夜の闇も果てしなく黒である。撮影監督はアンリ・ドカエである。また、パリの街頭をリアルに写している。パリはそうそうきれいな街でもないことがわかる。殺し屋は、メトロを乗り継いで姿をくらまそうとする。かといって車が乗れないことはない。車を盗むのが巧みで数本のカギを持ち、そのカギの中でエンジンがかかった車を盗んでいく。ナイトクラブでジャズの演奏シーンがある。BGMもジャズである。映画にジャズを使い始めた先駆けではないだろうか。汚いパリの街頭で思い出したが、ジョン・カサヴェテスの『グロリア』はニューヨークの汚い街頭が映し出されていた。ともに真に都市的な映画である。そして、この映画は犯罪映画につきもののベッドシーンはない。抑制的である。

監督のジャン・ピエール・メルヴィルをWikipediaで調べたら、メルヴィルは55歳で亡くなっている。早逝というべきだろうか。

撮影監督のアンリ・ドカエも亡くなっている。

アラン・ドロンは今でも生きている。88歳になろうとしている。ただ、今は映画界から引退してスイスで療養中である。

『サムライ』は一言でいえば、モダンでかっこよすぎる映画である。

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