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住宅設計の行き着く先を考える

住宅設計の行き着く先、かなり壮大なテーマであることは間違いないが、
最近その答えになんとなく辿りついたので、整理したいと思います。

長年、住宅建築の設計に携わってきて、自分の作家性をどう出すかというクライアントには直接関係のない内面的な課題に挑んできました。
その答えを考える前に、良い住宅を設計する為に必ず押さえておかないといけないことが3つあります。

1.敷地や周辺環境に対して明確な回答をもつこと

2.クライアントに合わせた使い勝手を追求すること

3.クライアントの要望の本質的なところを理解すること

この3点を踏まえた上で、自分の作家性を出すにはどうすれば良いか。

上記の3つは外部要因によって決定される内容なので、そこに作家性を追求してしまうと独りよがりな建築になってしまうので、それ以外のところを追求していった方が良いということになります。

また、この3つを大きくまとめると、「間取り」ということになります。
もう少しお話しすると、動線、収納の計画、窓の取り方などになりますね。

僕がいつも住宅をプランするときに大事にしていくることは、クライアントの要望をもっとも快適に実現でき、心地よくすごせる空間を作ることです。

これを実現するためには、3つのことは確実に押さえておかなければなりません。

そこを確実に押さえた上で作家性を出すために考えること、

それは、ディテールです。

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モダニズム建築家ミース・ファンデル・ローエの言葉とされている『細部に神は宿る』。

作品の本質が決まるので、細かいところにまで気を配らなければいけない…という意味で使われています。

また、ジブリの宮崎駿監督も同じ言葉を使っていたみたいです。

僕が長年の設計業務の中で感じたことはこういうことです。

クライアントとの打ち合わせは多岐にわたりますが、細かいところって、クライアントにとってさほど重要ではないのではないかと、感じています。
家づくりにおいて、クライアントの合意は確実に取っていかなければなりませんが、細かいところって、聞かれても分からないし、そんなことは、自分たちの意向を汲み取って、いい感じにして欲しいというのが本音だと思います。

例えば、外壁の色やサッシの色などはきちんと合意をとらなければいけませんが、ベントキャップの色、土台水切りの色などは、聞いても分からないし、こちらで選んで提案すると確実に決まります。

つまり、あまり興味のないお任せ部分、ここは存分に好きなことのできる領域なのです。(もちろんトンマナはきちんと押さえないといけませんが)

この”ディテールをこだわること“ が住宅設計においての作家性を出すことの1つだと思います。

そして、普段当たり前に使っている部材を疑ってみましょう。

棚受けの金物はブラケット型や棚柱型、ダボ以外はないでしょうか?

取手や引手は金物メーカーから選ぶ以外の選択肢はありませんか?

住宅設計は疑うことで、自分の色が出てきますし、表現できる領域がひろがります。

ディテールを疑うことで住宅設計の行き着く先が見えてくるのではないでしょうか。

その先のことは、また次回。。。




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