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サステイナブルブランドが日本でブレイクしない理由

「ホンマさん、楽しそうでいいですね」

ありがとうございます、おかげさまで
毎日ドキドキ楽しくやってます。

今回NYに来る際に、英語の留学の他に
大切な目的がありました。

どうしてアメリカのD2Cモデルは
スケールがデカイのか

この理由を明確にするために、ここへ
やってきました。

毎週足が攣りそうになるまで、マンハッタン、
ブルックリンを歩き続けました。

おかげでだいぶD2Cモデルの
全容が見えてきました。

やっぱりNYのD2Cが成功する
半分はブランドコンセプトにあります。

時代感をバシッと捉えて、60%以上の
共感を取る。

これができているブランドはやはり
人気があります。

D2Cブランドと言っても、アメリカは
日本と比べて歴史があります。

元祖D2Cブランド「BONOBOS」

例えば、2007年に設立された
元祖D2Cブランドと呼ばれても
おかしくない「BONOBOS(ボノボス)」。

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https://bonobos.com/

「うちの服は店頭で買えません、
買うならECでお願いします」

というスタイルを打ち出した
元祖ではないでしょうか。

チノパンを何十色も揃えて、
店頭は試着だけ。

売らないお店、と呼ばれたりして
当時話題を集めました。

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しかし、今回生でお店を見てきましたが、
お店には全くパワーがなく、

ディスプレイも昔のラルフローレンを
目指したときのままのVMD。

※VMD=ビジュアルマーチャンダイジング

どことなく漂う、新ネタのなさ。

ちょっと昔取ったキネヅカのチノパンが
でかすぎて、そこを抜けきれていない感じ。

ちょっと辛口かも知れませんが率直な感想です。

若者が行列を作るEverlane

老舗といえばもう一軒が「Everlane(エバーレーン)」です。

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こちらは2010年創業、
サンフランシスコ発。

元祖工場背景丸見せで、原価丸出しの
モデルが話題を呼びました。

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そんなEverlaneがどんななっているのかが
気になり、先週末SOHOの路面店へ行きました。

そこではまさかの・・・、

入場制限、長蛇の列。
全く入ることができません。

いっとき盛り上がってから、しばらく経って
いるはずなのに、この状況はすごい。

先週はその行列に並ぶガッツがなく、
後日ブルックリンの路面店へ行ってきました。

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大きなガラスファサードからは中が丸見えで、
ブランドの透明性も伝わってきます。

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驚いたのがクオリティで、縫製も生地も
他の価格帯のブランドと比べたら頭一つ抜けています。

工場丸見せ原価丸出しのコンセプトを
貫いているだけあり、製品の見せ方もいいです。

ユニクロで言う「+J」くらいの生地感で
値段は「+J」より安い。

安くもなく、高くもない、
強いて言えば安いかなぁ、みたいなところ。

それでも2020年は、年間4000万ドル
の規模まで売上を伸ばしています。

ベースのデザインは、ベーシックで
「ユニクロ」にかなり近い。

個人的な意見ですが、このまま日本に
やってきたとしてもベーシックの王者ユニクロが
いる限り、そこまでウケないと思いました。

しかし、NYではECはもちろんですが、
路面店もウケています。

店頭のVMDは、水着推しだったためか
アメアパの様な軽やかでヘルシーなエロさもあり。

何より驚いたのが、
お客さんがおしゃれです。

アメリカの地方の人や観光客だけでなく、しっかり
ニューヨークの若者が足を運んでいるのが見えました。

この客層こそが、ボノボスなどのそれまでの
D2Cブランドと決定的な違い
です。

特にアメリカの場合、若者の人口が高齢者よりも多い。

まだまだ大手アパレルと比べては小さな数字だけど、
今後若者の成長とともに、ブランドの未来は明るい

「Everlane」は若者の市場で売上げが
成長していることが素晴らしいです。

それはなぜか?

アメリカのミレニアル世代(25〜40歳くらい)は
もちろん、Z世代(25歳以下)に対しても

ブランドの透明性、
社会問題への意識が響いているから
です。

これにはもちろん教育やSNSの
影響が大きい
と思います。

日本でもサステイナブルという言葉が
言われ始めて、いよいよ経ちますが

正直、未だにサステイナブル市場が切り開かれて
いっている実感がイマイチありません。

サステイナブルブランドが日本でブレイクしない理由

こんなデータがあります。

海外向けに電通が昨年公表しているSDGsに
対する問題意識についての調査データです。

参照元 https://www.dentsu.co.jp/en/news/release/2020/0427-010046.html

日本国内で、世代別でのSDGsについて
意識しているかの結果がこれ。

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2019年から2020年にかけて60代以上を
除けば、かなり意識が上がっている
ようです。

特筆するのは10代の問題意識について
この一年で大きく上がってきています。

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2つめのデータは日本の「学生・主婦・会社員」の
3つに分けた意識調査です。

2019年から2020年にかけて、
学生の伸び率がここでも目を見張ります。

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3つ目のデータは、SDGsの情報の
ソースはどこかという調査。

日本の学生は学校の授業でSDGsに
ついて聞いているようです。

つまり、社会問題や環境への問題は
若者世代から警鐘を鳴らされます。

これと同じ様なアメリカのデータを
探せなかったのですが、

NYにいる感覚として、
アメリカの若者たちは、

「企業が社会に対して
どんな在り方でいるのか」

ここを考えている割合が
日本と比べて高いと感じています。

例えば、今私が通っている英語学校でも
テキストの内容は、半分以上は社会問題について。

あとはテックについてと動物の
生態について。

ナショナル・ジオグラフィックが
そのまま教科書になっている感じです。

で、その社会問題について
各国の生徒たちとディベートする

わけなのですが、

アメリカの学生たちはこれを
小学校からやっているというのを聞きました。

日本ですらこんなに10代と
30代以上ではギャップがある。

てことで、昔から授業で取り組んでいる
アメリカは、20代でも社会問題への
意識が高いはずです。

アメリカでサステイナブルをコンセプトにする
D2Cブランドが新しい世代にウケているのは
ここに理由があると思います。

では日本はというと?

環境問題、社会問題よりも「値段」
一番の購買動機になっているのではないでしょうか。

・地球に優しい服
・あなたの財布に優しい服

多くの日本人は後者を選びます。

現に日本のアパレル市場は
ユニクロ、ワークマン、しまむらの
三社で1.5兆円くらい売上があります。

UA、BEAMS、ベイクルーズの三社を
足しても4000億にもなりません。

そう考えると、低価格品の市場が
どれだけ大きいかわかります。

ちなみに私は自分でも服を作っている仕事なので
ユニクロやワークマン、しまむらでは買い物しません。

が、しかし、アパレルやっていなかったら
普通に全身ユニクロを買います。

休日はワークマンプラスで
揃えてキャンプ場へ行き。

+Jを着て、心から最高の気分に
なれてるはずです。

これはアパレルに限った話では
なくて、100円ショップや300円
ショップも同じ話です。

とにかく日本のマーケットには
安いものが多い。

外食なんかも世界最高峰に
安くてうまいものだらけです。

なので、結局また安いものが選ばれて、
さらにまた安くていいものがでてくる。

「ホンマさん、安くてうまくてなにが
悪いんですか!」

ホントそうですよね、いいこと
だらけなんです。

お客さんの財布にも優しいし、
企業もどんどん売上があがる。

ただ、安いものは大量生産するしかないので、
資本勝負になり大企業がさらに大きくなります。

需要よりも供給が多くなり、物余りになり
また商品の価格が下がります。

大きい企業が大きくなると、社会的な格差が広がります。

格差が広がるので、また大衆は安いものに
飛びつかざるを得なくなります。

これを繰り返すことで、中国をはじめとする
生産国へお金が流れます。

はじめは安くていいね、ってなっていますが、これが
長期化すると企業の利益も下がり賃金もさがります。

するとさらに買い控えがはじまり、
さらならデフレが進みます。

日本はこの30年近く、ずっと安い
ものが売れているので、物価は抑えられて
給料も上がりません。

この何十年も日本の商社は世界中で貧困国を
探して安いものを作る工場を探しています。

最たる例が、中国ウイグル地区の強制労働者が
低賃金で作っていると怪しまれているコットン工場です。

それらの工場を日本で販売店舗やチャンネルを
もった企業にマッチングさせてきました。

いまの日本のこの流れが止まるということは
全く考えられませんが、

世界のどこかで月収1万円以下をもらって
日本のホームレスより酷い生活をしている人がいます。

地球の寿命も加速度的に
短くなっていってます。

先日、ユニクロの柳井さんの
ウイグルに対してのコメントがありました。

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※参照元https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_6070c71cc5b6616dcd7818c5

むしろなかったと言ったほうが
良かったかも知れません。

この企業としてのあり方に対して
H&Mやナイキ、アディダスはウイグルからの
コットンは使わないと表明しました。

これに対して、中国ではH&Mやナイキ、
アディダスの不買運動が起こっているとのこと。

今後、世界No.1に向け中国での展開が
マストなためかコメントを控えたユニクロ。

その逆にどれだけ安くても良くても、強制労働で
作られたコットンを仕入れないと発表した数社。

どちらの在り方が正しいのかが分かるには、
もう少し時間がかかりそうです。

この先の未来の世界がどうなるかは
誰にもわかりませんが、

今のところ、人や地球に厳しくすることは
欧米視点からは大きな流れの逆という
ことになっています。

ちなみに、私は欧米の視点が100%
正しいとも思っていません。

これらの流れはアパレルに限った話ではなくて、
私も含めて海外生産している日本の企業が
みな考える必要があることだと思います。

そして、この大きな流れに日本の若者が
どう感じて、どう行動するのか。

いつの時代でも、ファッションのトレンドは
若者がきっかけになります。

おっさん、おばはんから出来た
トレンドはまず稀です。

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※参照元 総務省 国勢調査及び国立社会保障・人口問題研究所 将来推計人口、総務省 住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数を基にGD Freak!が作成

日本には他の国と比べると

・若者世代の人口の激減
・30年近く続いているデフレによる安物市場

この大きな2つの特徴があります。

勝手な私の推測ですが、
今の段階では

日本でサステイナブルをコンセプトにした
ブランドがあっても大きな潮流を作れない。

こう見ています。

ただ、先程も書いたように未来のことは
誰にもわかりません。

日本がいきなり移民の受け入れを
始めたりするかも知れないし。

インフレになる可能性も
決して少なくありません。

もしかしたら、世界の流れがあまりに
急激に変化して、貧困国での物作りに
税金が課せられるかも知れません。

こうなれば、流れは一気に加速し
サステイナブルじゃないものを
新たに作ることは難しいはずです。

どちらになるか、それともどちらにも
ならないかもわかりませんが、

NYでD2Cブランドをリサーチしていて、

日本の課題と、これからやりたいことが
いっぱい見つかりました。

これもまた、実験をしながら経過を見て
このブログに書いていければと思っています。

今回、書ききれませんでしたが、
世界規模でスケールするD2Cブランドの
共通点も見つけたので、次回書いていきます。


今回も最後まで読んでくれて
ありがとうございました^^


ホンマヒデ

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