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クリニックのロゴマークの意味

暮らしの中にたくさんあふれているロゴマーク

日頃はあまり意識することがないかもしれませんが、あらためて町を眺めてみれば、看板やポスター、屋外広告などをはじめ様々な場所に企業やブランドのロゴマークが存在していることに気がつきます。もちろん家の外ばかりではありません。おそらく先生のお宅でも、食品や衣料、家電製品などにつけられたロゴのみならず、テレビコマーシャル中に表示されるロゴなど、無数のロゴマークを発見できるはず。その例に漏れず、最近ではロゴマークを持つ医療機関もずいぶんと増えてきています。しかしながら、「遠方からも患者が訪れるような大病院ならともかく、個人経営の小さなクリニックにロゴマークなんて本当に必要なの?」という疑問をお持ちになる方もいらっしゃるでしょう。そこで今回のコラムは、クリニックにおけるロゴマークの必要性についてお伝えしていきます。

視覚に訴えかけ、クリニックの差別化を担う

厚生労働省の調査によれば、この20年(平成7年〜27年)で全国の医療施設の数は2万3千以上も増加しています。この選別の時代を生き残るためには、クリニックも一般企業のように差別化を図る必要があるのですが、医療業界は広告表現への規制が厳しいため(バックナンバー:『医療法の広告規制には要注意!』 参照)、独自性を際立たせるには限度があるのが実情。そこで近年、視覚に訴えかけるロゴマークが注目されるようになったのです。今では新規開業するクリニックの多くが、独自のロゴを作成し、看板やパンフレット、ホームページなどに使用しています。

患者が目にしそうなあらゆる場所にロゴを配置することで視覚的な接点を増やし、そのクリニックに対して統一されたイメージを抱くようにしむけているのです。もちろんほとんどのロゴマークは、患者の興味・意識を引きつけることなくその視線上を素通りしていきます。しかしだからといって「ロゴマークなんて意味がない」と断定することはできません。無自覚・無意識というのは、同時に無防備でもあるからです。潜在意識にイメージを刷り込む──、視覚効果の狙いはまさにここにあるのです。

クリニックのアイデンティティを表すロゴマーク

このように、ロゴマークの必要性は想像以上に高いものです。では、一体どのようなものが「良いロゴマーク」と言えるのでしょうか? たくさんの人々に知られているような大企業のロゴは、ほとんどが「コーポレートアイデンティティ(CI)」という経営戦略に基づいて作成されています。つまりロゴマークはその企業のアイデンティティを図案として表現したもの。医療施設のロゴも同様です。自院のアイデンティティ、すなわち院長が掲げる理念・ビジョンを形や色で表現している必要があるのです。ですから、もし先生のクリニックにロゴを設ける際は、単に見栄えが良いという理由のみならず、「自分が目指すクリニックのイメージに合っているどうか」という判断基準もぜひ加えてみて下さい。きっと流行に左右されず、長く親しまれるロゴマークが完成することでしょう。

現代社会のニーズに沿った継承開業というスタイル

「いつかは開業医として自分のクリニックを!」と夢見る先生にとって、「開業」とはすなわち「新規開業」を意味することが多いことと思います。しかし、新しいクリニックを立ち上げるばかりが独立の手段ではありません。既存のクリニックを譲り受ける「継承開業」についても、その候補の一つとしてお考えになってみてはいかがでしょうか。たしかに、まっさらな状態からスタートを切る新規開業は、第二の人生の船出として魅力的かもしれません。しかし継承開業には初期投資が少なく済んだり、早期の経営安定化が見込めたりと、メリットが数多く存在します。昨今では開業医の間でもご多分に漏れず少子高齢化が進み、後継者問題を抱えているクリニックが増加傾向。リスク少なく開業したい医師と、後継ぎが欲しい医師が増えているのなら、継承開業は両者のニーズを叶えるのに最適な開業スタイルと言えるのではないでしょうか。ただし継承開業を選択した場合、留意すべき点がいくつかあります。これらをないがしろにしたまま開業に踏み切ると、せっかくの継承のメリットが台無しになるどころか、逆に経営の足かせにもなりかねないという重要なポイントです。

前クリニックの“財産”を活かすために

第一に、患者離れの対策をすること。ゼロから集患する必要のないのが継承開業のメリットですが、必ず一定数の患者は院長の交代を機にクリニックを離れていってしまいます。これを最小限に抑える工夫をしなければ、「先生が代わってから落ち目になったクリニック」との印象を免れません。できれば前院長と2人で診察する引き継ぎ期間を設けるなどして、「肝いりの後継者」としてのイメージを患者に植え付けるようにしておきましょう。
次に、既存スタッフとは良い関係を築くこと。新規採用のコストも時間も削減できるため、継承時にはスタッフごと引き受けるケースが多分に考えられます。しかしその際、新しい院長との方針の違いや相性の悪さから関係がギクシャクしてしまうことも。前クリニックで活躍していたスタッフはその地域や患者に詳しく、新しいクリニックでも即戦力となり得ます。開業医にとって大切な経営資源と捉えるなら、コミュニケーションを密に取り合いクリニックの理念や理想を共有しておく必要があるでしょう。

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