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訪問看護師の歴史

看護師は病院だけではなく、地域で患者さんの生活を支える働き方も増えてきています。そのなかでも最近注目されてきているのが訪問看護師です。訪問看護師は病院で働く看護師とどのように違ってくるのでしょうか。今回は訪問看護師に関して詳しくお伝えしていきます。

訪問看護とは

訪問看護とは、住み慣れた地域や自宅で療養する方のもとに看護師が訪問しケアを行うものです。主治医の指示所に基づき医療処置を行い、健康状態のチェックをします。
利用者さんとそのご家族のサポートやアドバイスも一緒に行います。主治医と利用者さん、家族の橋渡し的な存在として、また地域に係る他職種の連携をスムーズに行えるような調整役としても訪問看護師の役割は重要です。
また、イメージとして高齢者で寝たきりの方のイメージが強いかもしれませんが、乳幼児の小児分野から高齢者まで、幅広い年齢が対象です。
また、診療科は内科系だけでなく、精神科疾患、脳神経・整形外科のリハビリに特化、がんのターミナルケアなどもあります。そのなかで、患者さんの生活に密着したケアを行うのが訪問看護の役割です。

看護師以外ではどんな職種が働いている?

訪問看護ステーションでは、さまざまな職種が働いています。ステーションごとに職種の配置は異なりますが、看護師と准看護師、保健師、ケアマネージャー、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、事務職員などです。

訪問看護の指示書

訪問看護を行うには、主治医からの「訪問看護指示書」が必要です。 訪問看護に関する指示書は以下のようにいくつか種類があります。
「訪問看護指示書」・・・一般的に使われる介護保険・医療保険共通で利用できる指示書。

「特別訪問看護指示書」・・・利用者さんの急性増悪などで頻回に訪問看護が必要な場合に、基本的な制限に縛られず、医療保険の訪問看護が利用できる指示書。

「在宅患者訪問点滴注射指示書」・・・週3日以上の点滴注射が必要な場合の指示書。

こうした指示書をうまく活用して、利用者さんの療養生活をサポートしています。

訪問看護の仕事はどんな人に向いてる

少し前までは訪問看護師は10年くらい病棟経験がないとなれないと言われていたこともあるほど、若手看護師には手が届かない働き方のイメージがありました。

しかし、最近では新卒から訪問看護師としてのキャリアを築いていくケースも増えてきており、施設側の教育体制も変化してきています。こうした流れにより、今後は新卒~若手看護師が訪問看護師として活躍するケースも増えてくることでしょう。

訪問看護はどんな人に向いているかというと、まずは患者さんを生活からみることが好きな看護師だと思います。病院で看護師をしていると、診断名がつけられた状態で入院、治療するなかで患者さんと関わるため、疾患から患者さんをみることが多いです。

しかし、訪問看護の場合には、自宅ですごく利用者さんの生活がベースにあるなかで関わっていきます。

本来、看護師としてはどちらの視点も大事だと思います。けれども、疾患からみるか、生活からみるかの向き不向きは、なんとなく日々感じている人も多いのではないでしょうか。

病院で働くことに疑問を抱くような場合には、もしかしたら訪問看護のような生活に密着した働き方が向いているかもしれません。

高まる訪問看護のニーズ!!はたしてどんな背景があるのか

みなさんは、『2025年問題』という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
あとわずか7年で、戦後の世代として最も人口の多い団塊の世代が全員75歳以上となります。
これによって日本は、5人に一人が75歳以上、そして3人に一人が65歳以上という、かつて経験したことのない、超高齢社会に突入します。
この超高齢化に伴って慢性疾患や複数の持病をかかえる人が増えてくると、社会保障などの医療政策のなかでも重要な課題となってくるものが『持続可能な医療・介護の制度設計』です。

これまで日本の医療が目指してきたのは、病院が入院患者に対して短期的に集中した治療を行って、回復させ、社会復帰させるというものでした。しかし、高齢化によって慢性疾患や複数の持病を抱える人が増えてきます。どうやって在宅医療を充実させられるのか?そこが大きな課題となっているわけです。

そこで、医療介護政策の中でもとりわけ重要なのは在宅ケアの基盤整備であり、団塊の世代が後期高齢者となり高齢化率が30%を超える2025年までに残された時間は多くありません。

数字で見る!訪問看護の現状

これから訪問看護の需要が高まってくるということですが、現状は施設数や職員数はどのくらいで、それは十分な数を確保できていると言えるのでしょうか?
そこで、2017年の時点での訪問看護の現状を数字を見ていきたいと思います。

まずは、訪問看護ステーションの数についてですが、介護保険がスタートした平成12年まで一気に増えて、それから増減を繰り返しながらも平成24年以降は急増しており、平成26年4月現在約7,400か所です。  

また、人口10万人当たりの都道府県別訪問看護ステーション数は全国平均は7.0であり、各都道府県によって数にばらつきがあることが分かります。つまり、まだまだ地域によって偏在があるため、訪問看護師数も十分とは言えません。在宅・地域で療養生活をおくっている利用者を支える訪問看護サービスは、高まる需要に応えきれていないのが実情なのです。

また、訪問看護ステーションの数の増加に伴って、訪問看護師数も増加傾向にあります。
ちなみに、訪問看護ステーション1施設あたり何人の訪問看護師が所属しているかというと、平成25年度のデータで単純計算して平均5.7人。実際は、訪問看護ステーションの常勤換算従業者数は3〜5人の施設が一番多いようです。
つまり小規模事業所が多く、期待される役割を十分に果たすことが困難な状況と考えられます。

現状で訪問看護利用者の内訳としては要介護5が最も多くなっており、利用者は重度化・多様化・複雑化してきています。
具体的には、がん末期患者や人工呼吸器の装着者、 チューブ類を使用して生活する人など、医療ニーズ の高い利用者が増えています。そして、重度の障がいのある小児や精神障がいがある在宅生活者、 認知症の人など多様化してきていることも最近の特徴です。

さらに、一人暮らしや高齢者世帯、老老介護、認認介護など家族介護基盤の弱体化も加わり、複雑化した多問題を有する利用者が少なくない状況となっています。

2025年に向けて訪問看護がめざす姿

訪問看護に求められる使命は多々ありますが、その中でも特に重要な課題は、「日本全国どこでも24時間365日、いつでも必要な質の高い訪問看護サービスを届ける仕組みをつくること」です。
そのために、2025年に向かって訪問看護事業所の目指すべき方向の一つは、多機能化・大規模化。また今後、医療ニーズが高い方や住み慣れた場所でのターミナルケアを望む方が地域で暮らし続けられるように、 地域包括ケアシステムを構築する必要があります。 その構築には、自宅を訪問する「訪問看護」や「定期 巡回・随時対応サービス」にとどまらず、「看護小規模多機能型居宅 介護」など日帰りサービスや宿泊サービ ス等も含めて、地域で暮らし続けることを支援する看護サービス全般を視野に入れ、その推進に力を注ぐことが必要です。

まとめ


看護師としての働き方も多様化してきていることが今回の内容で理解していただけたかと思います。今後はどのようにして働きたいのかをご自身で考えてより良い環境の職場を選んでいただければと思います。

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