リモートワーク実施率定点調査2024年1月 - Alternative Work Lab Letters -

Alternative Work Lab(以下、AWL)では、世の中に公開されているオープンデータを用いて定期的にリモートワークの実施率についてのレポートを行っていく予定である。
今回はその第一回として2024年1月末時点での公開データを用いたレポートを行う。

集計の前提


リモートワーク実施率は各企業や自治体が行っているが、企業への質問紙調査を用いてるものが多い。私たちも実施率を定点観測していくために、質問紙調査なども検討したが、公開データを利用し、そこから実施率を推論するアプローチを採用している。
利用している公開データは以下である。

1、国土交通省の「鉄道輸送統計調査
JR旅客会社・民鉄(JR以外)の旅客数量などの月次調査で旅客営業キロ及び旅客数量を、運輸局別、業態別集計されている。こちらをもとに2019年から2023年まで3月、6月、9月、12月の乗降客数のうち、定期利用者数を「通勤で利用している人」と定義。全国で3ヶ月ごとの通勤利用者数を比較することで在宅勤務を行なっている人数を算出する。

2、株式会社NTTドコモ、株式会社ドコモ・インサイトマーケティング「モバイル空間統計」と総務省「国勢調査」を基にした潜在人口の月次推移
滞在人口は指定地域の指定時間(14時)に滞在していた人数の月間平均値(平日)から国勢調査人口を引いた数を月ごとに算出。都心5区の千代田区、港区、中央区、新宿区、渋谷区の昼間の滞在人口推移を取得し、2019年を100とした場合で在宅勤務率を算出。
(「国勢調査人口」は、表示対象に指定した性別年代の人口であり、当該自治体における総人口ではない。)

全国のリモートワーク率


全国のリモートワーク実施率には国土交通省の「鉄道輸送統計調査」を利用して算出している。現在集計されてる2023/9時点では対2019年同月比で鉄道利用者数が90.02%になっている。つまり2019年同月に比べて9.98%減少している。リモートワークの実施日数は会社により異なるのでそれを考慮する。週あたりのリモートワーク実施日数を参考にするために東京都が実施しているテレワーク実施率調査結果を利用する。本来はリモートワーク実施日数はエリアにより異なるだろうが、他にデータがないこと、また都道府県ごとに大きく異なることは想定しにくいため、この調査の数値を利用する。テレワーク実施調査結果での結果をもとに、リモートワーク実施日数の期待値は2.623日である(週のうち52.46%)
通勤者数9.98%の減少を(1-リモートワーク実施日数期待値の割合)で割ると、20.99%となり、これがリモートワーク実施企業率になる。

東京都心のリモートワーク実施率


2、のデータを利用して算出している。現在集計されてる2023/6時点では対2019年同月比で日中の人口が83.32%になっている。つまり2019年同月に比べて16.68%減少している。この減少分をリモートワークによるものとして推定する。リモートワークの実施日数は会社により異なるのでそれを考慮するが、計算方法は上記と同じである。昼間人口16.68%の減少を(1-リモートワーク実施日数期待値の割合)で割ると、35.09%となり、これが東京都心のリモートワーク実施企業率になる。

まとめ

2023年9月現在、全国のリモートワーク実施率は20.99%、また東京都心においては2023年6月時点で35.09%がリモートワークを実施していると推定できる。これは上記で行ったように、リモートワーク実施日数の期待値(週2.623日)の割合を考慮している。
週3以上がリモートワーク、つまりリモートワーク主体の会社は東京都のテレワーク実施率調査結果によると約45%である。それを考慮すると、全国でリモートワーク中心企業(週3以上)は、9.44%、東京都心においては15.79%となる。

全国、東京都心ともに1年前に比べるとリモートワーク実施率は4-5%ポイントほど下がっているが、2023年に入ってからは安定しており、ほぼリモートワークしている企業とそうではない企業は固定してきたと思われる。

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