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80歳老人がつぶやく癌治療いろいろの続き,東洋医学から見る視点

癌治療を東洋医学の視点で補足してみます。
私は漢方医だから、抗がん剤の副作用で苦しんでいる患者に、抗がん剤を休んではどうかとアドバイスします。
しかし、このアドバイスに従う患者はいません。
何故かというと、患者は癌についての知識がほぼ無いので、抗癌剤を休むことは、治療をあきらめて、死ぬことだと受け取るからです。
抗癌剤を続けることが、生きる希望なんだと考えているます。
もう一つは、癌細胞が消えれば、治るのだと思っています。

この辺が、漢方医から見ると違うのです。
まず、癌細胞というのは、毎日体内で発生しているのです。
それを自分の免疫で毎日掃除しています。
何かの理由で、免疫による掃除が間に合わなくなって、癌細胞が溜まってきます。
だから、日々の生活の中で、余計な疲労を溜めないことが予防になります。
余計な疲労とは、暴飲暴食、喫煙、過剰なストレス、睡眠不足、過剰に頑張る、責任感過剰、自分さえ我慢すればという抑圧感、老人なのに酒タバコがやめられない、などです。
癌細胞を検査で判別できるようになるまで約10年かかります。
ずっと余計な疲労を溜め続けていたのです。
ですから、生活パターンを修正することが、最初にやるべき事です。

ところが、癌と診断されると、患者は、急に癌になったかのように慌てます。
慌てて、恐怖を感じて、すぐに癌細胞を無くしたいのです。
寝ても覚めても、癌のことが気になります。
でも、癌細胞は何年も前から体内にあったのです。
10年前に生活態度を改めれば、癌細胞を大きくせずに済んだでしょう。

病院に行くと、すぐに癌の化学治療が始まります。
癌細胞を殺す代表的な薬はシスプラチンです。
これを点滴で100mgを一度に投与して3週間休む、または、一回25mgを点滴して、これを2週間続けて、3週目は休む。
こういうスケジュールを標準として治療が実地されます。
このスケジュールは、化学薬は、24時間で体内から抜けてしまう、免疫力を示す白血球は3週間で元に戻る、という標準に従っています。
でも、人間は、標準通りに行かないのですよ。

しかし、化学療法を受けた人は、死ぬほどの副作用にビックリします。
しかし、同時に副作用の苦しみを乗り越えれば、治るのだと信じたいのです。
家族も、頑張ろうねと励まします。
患者が苦しめば苦しむほど、頑張れと励まします。
変ですね?
患者を観察すると、化学療法への反応は実に様々です。
驚きですが、副作用が何ともない人もいるのです。
ほとんどは起き上がれないほどの副作用に苦しみます。
実に、人の体力と反応に個人差があります。
極度の疲労感、食事の味を感じられない、食欲がなくなる、これが代表的な副作用です。

東洋医学では、食事の食欲と消化吸収を、生命力だと考えます。
ですから、副作用で食欲を失い、消化力がない場合は、その薬は体に合っていないと考えます。
ですから、副作用があれば、薬を中止して、回復するまで休養させることが常識なのです。
副作用を続けることは、生命力を失うことだと考えます。
ゆえに、食欲、消化力は戻るまで休養を進めます。

癌細胞は、何十年も体内にあったので、数週間休んでも大丈夫です、と私は言いますが、患者は、怒りますよ。
そんな呑気なことを言って無責任だと、いらだちます。
いや〜呑気だったのはあなたの方ですよと、私は言いたいのですが、我慢します。

米国衛生研究所のレポートに、癌に対する化学療法の一番の欠点は、正常細胞の芽を一掃してしまうことだと書いてあります。
化学療法で、癌細胞が小さくなるのですが、健康な細胞の芽を摘んでしまうと回復できません。だから、化学療法をやればやるほど、癌が小さくなったと医師は喜ぶのですが、患者は弱っていきます。
癌は消えたけど、患者は死んでしまったということが起こります。

この現状に対して、嬉しいニュースは、本庶佑先生の研究です。
免疫細胞を目覚めさせれば、自分の力で、癌を一掃出来るという研究です。
本庶先生のおかげで、人の免疫を蘇らせる薬を開発するようになって来ました。
本当にノーベル賞に値する研究です。

もう一つの動きは、伝統的な化学療法の薬を、10分の1とか、50分の1という微量を点滴すると、人の免疫力が目覚めて癌を小さくすることが分かったことです。
日本では、抗癌薬という毒を微量使うと、免疫力が強まるという認識が広まって来ました。癌を直接殺すのでなく、免疫を刺激する薬として使うというのです。
こういう薬の使い方は、製薬会社とか大学病院では喜ばないでしょうが、いずれにしても、結局、人の免疫力によって癌を克服しようとする動きが始まっています。

熊本の赤木先生の水素ガスを大量に吸わせると、本庶先生の薬が少量でも効くようになるという発見も素晴らしいですね。

結局、自分の免疫力が大事なのです。
その免疫力を弱らせたのは、私たちの日々の生活パターンです。
残念なことは、免疫を強化するって何なのかよくわ分からないのです。
免疫システム自体にまだ分からないことが多いのです。
生活パターンを反省することも、難しいですよね。
足がむくんで膝が痛い友人に、ワインを止めろと忠告したら、
人生の楽しみを奪うのかと不満を言われました。
重度の糖尿病患者に日本酒を止めろと忠告したら、その奥様に、好きなものを辞めさせるのはひどい、と言われました。
腎臓移植を2度やって、3度目の移植でアメリカに来た患者にビジネスに夢中になることを止めろと忠告したら、寝る間も惜しんで金儲けをしたいと言われました。
う〜む、人間は救い難いのかな〜。




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