第十話 冬の生活

畑の収穫が終わるとだんだん雪虫が飛び始める。雪虫は飛ぶ力が弱いので、ヒラヒラと風になびき流される。

その頃には、白菜を新聞でくるみ編んだ藁で天井に吊るしていったり、大根を箱の中の土にいれたり冬のための保存の準備を進めていく。

僕も薪ストーブの準備をしたり、小豆を瓶に詰めたりお手伝いをしていた。そして、薪ストーブがつくと決まっておばあちゃんがあんこづくりを始める。あんこを焦がさないようにこねるのは僕の仕事だった。

僕の住む山形はとても雪が多い。当時は、機械がまだなかったので雪が降るとタングツ(藁で編んだ長靴)を履いて踏み固めていた。

僕も朝起きるとすぐに、歩くところを踏みにいった。とっても時間がかかるし疲れるので、僕は体全部使ってゴロゴロ転がっていた。おじいちゃんがいつも笑いながら見ていた。

あっという間に家の周りは一面銀世界になり、静寂に包まれる。そしてそれぞれの家もかろうじて屋根しか見えなくなる。

どの家にも壁の高いところに窓があり、外の雪が多くて高くなるので、その窓から外を歩く人にあいさつしていた。

小学校に歩いていくのも大変だった。でも田んぼも雪に覆われているので、僕はスキーに乗って遊びながら通っていた。でもすぐに先生に見つかり怒られた。なので次は、じゃんけんで勝った子がランドセルに座り負けた子が引っ張って犬ぞりのようにして遊んでいた。僕の教科書はいつもしわしわだった。

小学校でもオイルを燃やすストーブがついていたので、秋に拾っておいた栗やみかんを持って来てあぶって食べていた。

小学校は高台にあったので、グランドの脇は高い崖だった。なので、雪が積もると格好の滑り台になった。僕は登校するとすぐに、グランドから滑っていきお尻ですべるところを作り水を撒いていった。すると放課後には凍ってすごく滑る滑り台になる。

雪だるまもグランドでまず転がして作り、その後に崖に転がすととっても巨大な雪だるまが出来た。そんなことを毎日暗くなるまでやって遊んでいた。


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