関原 秀行(Sekihara Hideyuki)

弁護士(東京弁護士会)/インハウスハブ東京法律事務所/総務省(消費者行政課)/学習院L…

関原 秀行(Sekihara Hideyuki)

弁護士(東京弁護士会)/インハウスハブ東京法律事務所/総務省(消費者行政課)/学習院LS/東海大(物理)/データ保護法/個人情報保護法/通信の秘密/ダイビング/noteは個人的見解であり、所属団体とは関係ありません

最近の記事

改正電気通信事業法の特定利用者情報の適正な取扱いに関する規律

 この記事は、「裏 法務系 Advent Calendar 2023」の21日目のエントリーです。  おもしろ記事が思いつかなかったので、ガチ法律ネタになってしまいました(空気を読めず申し訳ないです…)。  改正電気通信事業法といえば幅広い事業者を対象とした外部送信規律が追加され、多くの企業の皆さまは対応が終わってほっとしているところかと思いますが、一部の大規模事業者に対しては「特定利用者情報の適正な取扱いに関する規律」への対応がまだ残っているよね、ということで規律の全体像を

    • 改正電気通信事業法のCookie規制への対応準備

      1 はじめに 2022年に電気通信事業法が改正され、以下の規律が追加されることになりました。 ① 大規模事業者におけるガバナンス強化に関する規律 ② 利用者情報の外部送信に関する規律  ①の規律は、大規模事業者を対象としており、本noteの執筆時点(2022/12/29)では規律の詳細に関するガイドラインは公表されていません。  他方、②の外部送信に関する規律は、幅広い事業者を対象とするものであり、すでに本note執筆時点では12/23に最新のガイドライン案(https://

      • プライバシー法務ってどんな働き方があるんだっけ?

        このnoteは裏法務系Advent Calendar2022のエントリー記事です。 「65%の人@法務カブ主」さんの記事を読ませていただき大変勉強になりました。 1 はじめに 今年で参加するのは3回目で毎年何を書こうか悩むのですが、私の肌感として最近企業において法務とは別に(又は法務部門の中に)プライバシー関連の業務を専門に扱う部署が増えてきている印象があり、個人的にも相談を受けることがあるので、プライバシーを専門に扱う法務パーソンのキャリアとしてどんなものが考えられるのか

        • 電気通信事業法の改正案を読んでみた

          1 はじめに 2022年3月4日、「電気通信事業法の一部を改正する法律案」が国会に提出されました。  改正案は、以下のリンクから見ることができます。 https://www.soumu.go.jp/menu_hourei/k_houan.html  この改正案は、電気通信事業法(以下「事業法」といいます)を大きく改正する内容を含むものであり、幅広い事業者に影響を与える可能性があります。  週末ざっと条文を読んでみたので自分への備忘録も兼ねて改正案の内容をまとめてみました。  

        改正電気通信事業法の特定利用者情報の適正な取扱いに関する規律

          インハウスを経験してみて

          【このnoteは法務系Adbent Calendar2021のエントリーです】 今年も「ちくわ」さんからバトンを受け取りました。 法務に役立つアニメがこんなにあったとは… わたしは一つも見たことがなかったので年末年始に見ようと思います。 普段、Twitterやnoteでは個人情報保護法ネタが多いのですが、今回はインハウスローヤーになってみて思ったことを気楽に書いていこうと思います。 1 自己紹介インハウスといっても幅広いので、まずはわたしがどんな環境にいるのか簡単に自己紹

          インハウスを経験してみて

          個人情報保護法の令和2年改正に関する政令・規則(案)のパブコメ返しのポイント

          今年のはじめに個人情報保護法の令和2年改正に関する政令・規則のパブコメが実施され、その結果が本年3月24日に公開されました。 提出された意見に対する回答(パブコメ返し)は、重要なものはガイドラインに反映されることが多いですが、諸々の事情により反映されないものもあります。 今回は、パブコメ返しのうち、ガイドライン(案)に反映されていませんが、押さえておくと実務上役に立ちそうなものをピックアップしてみました(一問一答には記載されていたり、ガイドライン(案)に記載されているのを見

          個人情報保護法の令和2年改正に関する政令・規則(案)のパブコメ返しのポイント

          令和2年改正個人情報保護法のガイドライン(案)のポイント(越境移転編)

          現在、パブコメ中の令和2年改正個人情報保護法に関するガイドライン(外国にある第三者への提供編)(案)(以下、記載の便宜のため「外国提供編」とします)について、ガイドライン案で明確化されたポイントをまとめてみました。 通則編(案)については、以下をご参照ください。 1 適合体制を根拠に提供する場合の具体例を追加「外国の第三者」に「個人データ」を提供する場合、本人同意がなくても適合体制を整備していれば提供することが可能です(24条1項)。 具体的には、個人情報保護法「第 4

          令和2年改正個人情報保護法のガイドライン(案)のポイント(越境移転編)

          令和2年改正個人情報保護法のガイドライン(案)のポイント(通則編)

          令和2年改正個人情報保護法に関する各ガイドライン(案)のパブコメが開始されました。 個人的な備忘録を兼ねて、各ガイドライン(案)で追加・変更された点の中で、独断と偏見により実務対応に影響が大きそうなポイントをピックアップしてみました。 ガイドラインはいくつかありますが、まずは通則編(案)(以下、記載の便宜のため「通則編」とします)をみていきます。 なお、政令・規則などによってすでに明らかになっている論点・ポイントについては触れていません。 また、個人情報保護委員会よりガイ

          令和2年改正個人情報保護法のガイドライン(案)のポイント(通則編)

          プロ責法改正案をざっと読んでみた

          1 はじめにこのnoteは、2/26に公開されたプロ責法の改正案をざっと読んだ感想になります。 完全に私見であり、立案担当者の見解とは異なる可能性がありますので、ご注意ください。 改正案が掲載されている総務省HPへのlinkは以下のとおりです。 2 プロ責法改正案のポイントポイントは、次の4つになるかなと思いました。 ① 「損害賠償責任の制限」は変更なし ② 現行の「発信者情報開示請求」も維持(実体法上の請求権構成のママ) ③ ログイン型に対応するため開示請求範囲を拡大

          プロ責法改正案をざっと読んでみた

          令和2年改正個人情報保護法の政令・規則(案)のポイント

          1 はじめに現在(2020年12月28日)、改正個人情報保護法の政令・規則案がパブコメ中ですが、自分の備忘録として政令・規則案のポイントをまとめましたので、企業の皆さまの参考のために公開します。 記載の便宜のために、(案)の段階の施行令、規則につき、「案」を削除して施行令、規則と記載しておりますのでご容赦ください。 また、パブコメを経て内容が変更される可能性がありますので、ご注意ください。 2 漏えい等報告・本人通知⑴ 漏えい等の報告義務 改正法では、個人データの漏え

          令和2年改正個人情報保護法の政令・規則(案)のポイント

          0(ゼロ)からリサーチ「個人情報保護法」【おすすめ文献5選】

          noteを開いていただきありがとうございます!! こちらは『法務系アドベントカレンダー2020』のエントリーになります。 ちくわ(@gigakame)さんからバトンを受け取りました。 「アドベントカレンダー」に参加するのは初めてなので何を書こうか悩み、ahowotaさん、ちくわさんから続くアニメの流れに乗ろうかとも思ったのですが、結局自分が好きな個人情報保護法について独断と偏見に基づき選定したリサーチに役立ちそうな文献を紹介することにしました!! 主に「個人情報保護法につ

          0(ゼロ)からリサーチ「個人情報保護法」【おすすめ文献5選】

          改正個人情報保護法の越境移転における情報提供義務にどう対応するか?

          1 はじめに令和2年・改正個人情報保護法では個人データの越境移転に関する規制が追加されました。 これについて、いろいろ議論があるようなので私も思うところを書きたい欲求に駆られて今回noteを書いてみます。 まずは、個人データの越境移転に関連して追加された規制を見ていきます。 2 越境移転データ移転時の情報提供の充実今回追加された越境移転に関する情報提供などに関する規制のイメージは以下のとおりです。 現行法では、日本以外の「外国にある第三者」に個人データを提供するためには、

          改正個人情報保護法の越境移転における情報提供義務にどう対応するか?

          電気通信事業法の2020年改正(外国法人等に対する法執行の実効性強化)

          1 はじめに2020年5月15日、電気通信事業法の一部改正を含む「電気通信事業法及び日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律」が成立し、同年5月22日に公布されました。 上の法律による改正項目はいくつかありますが、今回は「外国法人等に対する法執行の実行性強化」に関する内容を見ていきます(厳密には外国法人だけではなく日本法人も対象となる規制が追加されています)。 2 改正の概要今回の改正によって追加された規制は以下の2点です。 ① 外国法人の登録・届出などに

          電気通信事業法の2020年改正(外国法人等に対する法執行の実効性強化)

          2020年・改正個人情報保護法の概要(「越境移転」編)

          第1 はじめに何回かに分けて改正個人情報保護法の概要を見てきましたが、今回は「越境移転」編ということで、「外国にある第三者」に個人データを提供する場面における改正事項について書いてみます。 まずは、今回の改正で追加されたルールの概要を見た上で、詳細な内容(改正前はどんなルールだったのか?改正によって何が追加されたのか?)を見ていこうと思います。 第2 今回の改正で追加された「越境移転」のルール今回の改正によって、「外国にある第三者」に個人データを提供する場合において、本人

          2020年・改正個人情報保護法の概要(「越境移転」編)

          2020年・改正個人情報保護法の概要(「仮名加工情報」編)

          第1 はじめに(2020/7/6に右の箇所を修正加筆しました⇒第3・4(1)、第4(1)) 2020年・改正個人情報保護法についてこれまで何回かnoteを書きましたが、今回は「仮名加工情報」について書いてみます。 今回は改正個人情報保護法シリーズの第6回目で、本当は「越境移転」について書こうと思っていました。ただ、「仮名加工情報」について結構議論があるようで、個人的にも早く書きたくなってしまったため「越境移転」は飛ばして「仮名加工情報」について書かせていただきます(「越境移転

          2020年・改正個人情報保護法の概要(「仮名加工情報」編)

          2020年・改正個人情報保護法の概要(「個人の権利」編)

          1 はじめに今年の6月5日に個人情報保護法の改正を含む「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案」が成立し、6月12日に公布されました(改正法の施行は一部の規定を除き、公布から2年以内とされています)。 これまで4回にわたって改正個人情報保護法の概要について書いてきました。5回目となる今回は「保有個人データ」の開示請求や利用停止請求などの「個人の権利」に関する改正事項について書いてみようと思います。 改正個人情報保護法の概要に関する過去のシリーズは以下をご覧くだ

          2020年・改正個人情報保護法の概要(「個人の権利」編)