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神楽月の坂道をゆっくり下っていく

デッドラインの無い日には、隣の駅で歩いて目的地まで行く事を時々やるのだけど、お昼休みのランチの賑わいが戻ってきたようで微笑ましい。

すれ違う女性陣が、「わぁー今日も人がいっぱい」と喜びと諦めの入った感じではしゃいでいる。
短い昼休みでも列に並ぶメンタルが凄い。

神楽坂は無くなったお店もあるけど、時代を超えて人が集まる場所だから
いつも活気がある。
入れ替わり立ち替わりで、小さな店が立ち並ぶ石畳の空間。

職人さんもリーマンも、500円の弁当に並び列を作るが、店員さんも必死で袋詰めとお金のやり取りを繰り返す。
とても狭い道に人が溢れているので、配達のバイクも入りにくそうだ。

外堀通りの大食いお断りの巨大餃子と炒飯の店は、不況のせいかチャレンジ受け付けをやめてしまっている。

地下鉄の交差点を通り過ぎて、ブルーの複合立体歩道橋を登り切ったところで、大型の古本屋が無かったことに気づいた。
歩道橋からその雑居ビルが見える所まで進み、振り返ってみたが、やはり黄色い看板は見えなくなっていて、変わりに居酒屋の看板が見えた。

何かと嵩張る書籍は、場所も取るし興味関心が移り変わる中で、やがて単なるゴミとなっていく。
幻のシナリオ集を手に入れた時には、かなり興奮した覚えがあるけど、いい値段がついたので、早々に売ってしまった。
思い出は忘れるから、美しく昇華していく。
昔ハマった著名人の大量の本も全て市場に返してみる。
カフェでお茶する位の小銭に、それらは変わっていった。

成功者の名言も素人のツイートも、最終的には、大して変わらない。
夢や理想も大事だけど、今目の前のありきたりの日常を楽しむ事が大切。

大きなホームランはもう狙えないが、小さなバントなら何とか出来るかもしれない。
いや小さな何気ないバントをコツコツと積み重ねる方が、実は難しいものなのかもしれない。


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