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誠心誠意 #スキな3曲を熱く語るII ~私を救う詩~

ラブソングにときめかない私は
必然的に人生の岐路に立ち止まったときに聴きたくなる曲を選んでしまいます。

困難に立ち向かうとき、どんな武器よりも
たった一つの言葉、たった一つの旋律で心が奮い立つという経験はありませんか?

モノを知らないだけかもしれませんし、他にもいろんな言い方が存在しているかもしれませんが、初めて触れたときに衝撃を受けた言葉、
妙にスッと心の隙間に入り込んだ曲、誰にも一つはあるんじゃないでしょうか。

私の語彙は主に小説や歌詞から形成されている自負があります。
あたかも自分の言葉のように操っていて、
その実どこかで仕入れた言い回しを借用してるだけに過ぎないのかもしれません。
まぁ意図的に仕組んでるときも多々ありますが。

それくらい、今のこの世の中には創作物は溢れています。
すでに生み出されたものなので、
それは歴史から忘却されない限り今後も無限に増えていきます。

昨晩は少々鬱に身を委ねてしまいましたが

今日は少し前向きに、本日も3曲ほど紹介させてください。
あなたの心にも、少しだけこの温度が届けばいいな。

Junky Walker / Janne Da Arc

作詞:yasu 作曲:kiyo&yasu

JanneDaArcのメジャー1stアルバムより。
いきなりザ・ヴィジュアル系といった曲調で驚かせてしまってたら申し訳ありません。

メジャーデビューシングルの候補にもなっていたとも言われているこの曲は
その割にはポップさに欠ける攻撃的なギターサウンドで
サビも盛り上がりに欠ける大衆受けしなさそうな早口メロディで
アルバムの中でも屈指の人気の薄い楽曲ではあります。

個人的には楽曲もはものすごく好みなんですけどね。
アルバムの中でもStrangerと並んで
ジャンヌが技巧派だとわからせる楽曲でもあります。コピーむずい。

暗い闇の中で この夜の街はとても綺麗だけど
醜いものがただ見えないだけで
行き交う人々はみな無口で 見えない力に逆らえなくて
幼い頃に見てた この空はもっと透き通っていたような気がする
今は色あせた追憶
気がつけば全てに疲れていて ここで色んなものを見すぎてきたから

私達は忘却する生き物です。
よっぽど不幸な家庭に生まれたりしていなければ、
子供の頃はおおよそ未来に希望をいだいて暮らしていたはずです。

余計な経験を経て、そんな純粋さを忘れてしまう。
無垢を犠牲に生きるための知識を得ていくのが当たり前なのです。

まぁ、いかにもヴィジュアル系最終兵器と呼ばれていたとおり
なんとなくヴィジュアル系が歌ってそうな歌詞ではありますよね。

絡みついて僕の足を引く 穢れたエゴイストたちの中で
廃墟を舞う蝶のような生き抜く強さがほしい
今はまだ何も言わないで ルールに背いてるんじゃなくて
従えないのは 理解できない作られた正しさだけ

でも、小学生の頃から漠然と、なんか先生の言うことや同級生の同調が
気持ち悪いなと思っていたかわいくない餓鬼でもありました。
特に田舎は顕著で、昔ながらの体制がそのまま残っており
なんとなくその校則って必要なことなのかな、と思いつつも
それでも周りはそれが当たり前だと口を揃えるし
窮屈に感じる自分のほうがおかしいのかなと自分を納得させるように過ごしていました。

でも高校の頃、その不満が実害となって現れ始めます。
そんなときにこの曲に出会ってしまったので
私には、その言語化出来なかったもやもやを明言してくれた、
救世主のように感じてしまったのです。

そして、最後の一節。こちらが私の座右の銘でもあります。

僕が目を逸しているのは 理不尽な現実じゃなくて
それを乗り越えられない自分自身にあるのかもしれない

yasuはエロイこととか反骨心みたいなことを歌詞のテーマに掲げる割に
たまにこうして人生観を滲ませてくることがあります。
最終的にはこうして、何かのせいにするんじゃなく
それをねじ伏せられるほどのチカラを手に入れればいいと結論付けることが多いです。

人は変えられない、ならば自分が変わればいい、
とは昨今氾濫している自己啓発の看板文句ではありますが
そんなことは学生時代から思ってたし、yasuが肯定してくれてました。

だから私は人に何かを期待することは随分と前からしていません。
結局自分が自分の意志で以って行動しなければ何も変えられない。

私はまだ自分の力を信じてみたいです。
まだ何者かになれるんだと、子供みたいに信じていたいのです。

bring you my heart / wyse

作詞・作曲:牧田拓磨

メジャー2ndシングルで、驚くほど売れなかった曲。
(この動画は再結成後にリテイクされた音源ですが)
Spotifyの企画なのにSpotifyにない曲ですみません。

私共の年齢になってくると、少なからず死別は避けて通れません。
そんな事はわかってるつもりではありましたが
いざ直面してみるとあまりの無力さを痛感します。

もういいんだよ。深呼吸をして
その黒い服を脱いだら 泣けばいい

こんなに具体的なシチュエ―ションから入る楽曲が
これまでかつてあったでしょうか。
そしてそれをシングルとして切る勇気よ。
当時よっぽど強い思いが、TAKUMAにはあったのでしょうね。

いつも強がって弱さを感じさせない 
そんな君だからこんな日は 見てるのが辛い

私が初めて体験したそれは、
ただ私よりも私の親友の方がより親しかった友人の死でした。
口下手で恥ずかしがり屋の、それでも誰より優しいそいつは
彼が緊急搬送されたと聞いてひどく取り乱していました。
その次の日に、
彼の最期に握ったゴムのような腕はきっと一生忘れられないと
呆然とこぼしていたのを覚えています。

ちなみにそいつとは、もう20年来の友人になります。
そんなに頻繁には会わないけれど
私にとっては一番の友人、
この世で一番信頼は置けるけど気は置けない、
そんな関係と言えるかもしれません。

冷たい風が僕の目を塞いだときも 君は何も語らず さり気なく側にいて
僕の手を握っては 光へと導いてくれた

昨晩も触れたんですが、絶望の淵に陥ったときも
そいつだけは唯一変わらず私の味方でいてくれました。

あのとき、そいつがいなかったら私はどうなっていたんだろう。
きっともう東京にはいなかっただろうな。
夢破れたと田舎に帰ってそのことを一生グチグチ言いながら
刺激のない日々を過ごすそんなありふれた人生になっていたかもしれません。

かけがえのない君が崩れそうな今
僕は何をすればいい? 星に願えばいい? ともに涙すればいい?
でもどれ一つ、しっくり来ないんだ

そんな彼が崩れそうな今、私に何ができるのだろう。
私の胸中は、一言一句そのままこの楽曲が歌ってくれているのでした。
こんなにもシンクロすること、あるんですね。
ちょっと今当時を思い出して涙が止まらないんですがどうしましょう。

冬に輝いた雪が 春の花を潤し
夏の太陽が 切ない秋を生む
君の胸の痛みが 少しでも癒えるように
季節とともにこの歌を この声が死ぬまで詠うよ

そんな私に寄り添ってくれるのが、この詩です。
今でもこの曲は節目のライブで歌ってくれます。

僕らは大人になって逆らえない流れに直面する
それでも 挫けず光を探しに行こう
いつかは僕らのこの手で 風向きを変えられるはずさ
あのとき 二人で観た空を胸に

繰り返す 絶望の中で
倒れそうになったら 僕のこと思い出して

これは私が彼に思う詩。
そしてwyseが私にかけてくれる詩。

倒れそうな今、私はまたwyseの歌詞に縋っています。
いつでも私の人生に、wyseが意味を付けてくれる。
そんな大切なバンドです。


この画像は、一通りの傷みを、悼みを吐き出したあとに乾杯したものです。

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とある晩に、彼とそいつと私の3人で、そいつの部屋で晩酌をしていた、
また飲もうと彼が置いていった黒霧島を空けるという儀式。

君を一生忘れない。そう誓って盃を交わす。
彼が私達に望んだ未来とは少し違うけど、
私等はまだかろうじて生きながらえているよ。


STREET LIFE / GLAY

作詞・作曲:TAKURO

GLAY10周年記念楽曲。
初めは両A面のBeautiful Dreamerの方ばかりを気に入ってました。

学生の頃は中二病真っ盛りのため、GLAYよりラルクを推していたのですが
年齢を重ねるに連れ
当時は理解の及ばなかったGLAYの歌詞に傾倒していくようになります。
それこそ当時はHOWEVERなんかより口唇の方が好きだったわけですよ。
GLAYのバラードはつまらん、とさえ思ってた時期もありました。

ところがいろいろ経験を重ねていくと、そういうことか、と納得させられ
いつの間にか人生の指針にまで感じる様になっていました。
中でもこの曲は10周年記念ということで、これまでの半生を振り返る内容。
この胸に響かないわけがありません。

僕の心に巣食う卑怯者の芽を摘んで
もう少し自分に胸を張って 生きられるはずさ
分かち合えた友達や見守っていてくれた
暖かな人の輪からもう旅立つときなんだろう

なんて文学的な言い回し。
何かと知的武装しがちな大人の汚い部分を剥がせられれば
若い頃のがむしゃらさを取り戻せて
その勢いでお世話になったレコード会社から飛び出そうと
この時点で豪語してるわけですね。

これがロック色の強いTHE FRUSTRATEDに収録されているのが面白すぎる。

思い出一つも残さずに 明日出てゆこう
絆は愛を求めて泣き声を上げるけど

もうここまでくると歌詞じゃなくて歌詩です。
隅々まで一片も残らず言い回しが洗練されていて美しい文体。
ここまでは小説を読んでるような満足感で、
一つの作品としてとても好きな楽曲に変貌します。

産声を上げ一人で歩き 駆け抜けた日々で育んだ夢は
夕暮れの交差点 人の背中に映る
泣いた 笑った 確かに愛した
あなたに出会えてよかったと今更になって言うなんて
どうかしてるだろう

まさに半生。
こんなに短い文章に愛憎憧憬喜怒哀楽、無知の罪と贖罪が含まれている。

曲先で作られているんでしょうけど、きっと歌詞を当てはめるときに
メロディの方を変更して組み立ててたんだろうなという妄想が捗ります。

そして心底痛感するのはサビの最後、Cメロの部分。

僕は少しだけ心を燻らして そして庇いながら
様々なの季節を探して この街で生きるんだ

心を燻らして、という表現に
これほどしっくり来る言葉を知りません。
これまでの経験でえらく傷んだ精神状態はけして癒えることはなく。
ちょっとのきっかけでそれは再び燃え上がる危なっかしい火種で
それでもやはり生きていかなくてはならない。
捨てることは出来ないその感情を、それでも抱えながら生きていたい。

蜜に群がる大人を冷めた目で睨む少年は
何に今 情熱的であるべきか 必死で探してる
疲れにむくんだ足で それでもまだ歩くのは
悲しませない 悲しませたくない誰かが側にいた

上述していますが、
割と早い段階でこの社会のシステムに疑問を感じていて
まさしくそれを言い当てている歌詞を私は好きになります。
探せば結構こういう歌詞、邦楽には多いんですよね。
ミスチルとかB'zとか、そういう曲ばかりと言ってもいいかもしれません。
ただ、私はTAKUROの表現の仕方が一番美しいと感じています。

裏切りや悪意や妬みに 今日もまた誰かさらされている
頼りの神も失業中 人生ってやつは……
だから僕ら がむしゃらに

ここの感情こもった歌い方が好き。
PVのここの演出もかなり悦に入ってます。
バラードなのにこんなに熱く激しい。
この辺りがロックバンドの美徳だと思っています。
最後の 泣いた 笑った 確かに愛した oh....の部分も
ぜんぜん綺麗に歌おうとしてない泥臭さは
紛れもなくロックだと思うのです。
なにもヴォエーって叫ぶのだけがロックなわけじゃない。

奇跡の果て・pure soul・SAY YOUR DREAM etc...
GLAYの人生観を歌った曲が好き。
TAKUROが紡ぐ歌詞がいい。

ねぇ僕たちは きっとどこかで少しだけなにか間違えたかな
今はまだわからない 誰にもわからないよね

何が正解で何が間違いか。
まだまだ人生の途中である私達にはそれを断定できる材料はありません。
全てが終わったとき、この生命が潰えるその時に、
ようやくわかるものなんでしょうね。

私もこんな風にドラマティックに生きたいな。
まさにそう思わせてくれる楽曲です。


Afterword

というわけで、 #スキな3曲を熱く語る  IIでした。

もう、とにかくwyseが売れていないこの世界線に納得がいきません。
Spotifyでもまぁなんて再生回数。
数字が出てないってことは1000行ってないってことですよね。

あと有名なアーティストでも、
私の好きな楽曲の不人気っぷりがすごいです。
GLAYのSTREET LIFEなんて
シングル表題曲なのにこの再生回数……信じられません。

どっかで私は「みんな歌詞なんて読んでないよね、うん知ってる」
っていい切ってるのはこういうのが所以です。
それか内容のない歌詞のほうが好まれているのか。

……いえ、愛だの恋だの言ってる歌詞に共感できないから発生している祖語なんでしょうけど。


何の間違いかでここまで漂流してしまった方に
心より感謝を。

あなたが、一番私を救ってくれています。

読んでくれて、ありがとう。


ちなみに今日のBGMもYouTubeのnoteフェスです。笑

明日は昨日触れたとおり重々しい用事があるのでちょっと難しいかな……
また明後日お会いしましょう。




最後まで長文お読みいただき誠にありがとうございました。 つっこみどころを残してあるはずなので 些細なことでもコメント残してくれると嬉しいです!