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新月の軌跡 モノクロの輝石

11月11日といえば、何の日でしょう?

ヒントは、国民的行事ですね。
ここ10年で定着した気がします。
Twitterでもよく見られるようになりました。
この日を一年で一番大切な日だと思う方もいるかも知れませんね。

・・

・・・

・・・・

・・・・・

はい、そうです。

Kαinのファーストワンマンが開催された日ですね。


Kαinとは

絶対王政・藤田王国の宮廷音楽家です。嘘です。

今年で音楽歴27年くらい?になる
D≒SIRE・JILS藤田幸也がフロントマンを務めるバンドです。

JILSが史上もっともセールス面で沸騰していた最中に突然"解体"され
わずかその半年でワンマンと1stアルバムを完成させるという
破壊と創造を司るなんとやらよろしく
絶望と希望だかなんだかごっちゃ混ぜな感情をファンに叩きつけました。




D≒SIRE最初期からの幸也とSHIGEとの付き合いは20年以上になり
「そろそろ一緒に音楽をやらないか」と積年の想いが叶った瞬間でもあり
ようやく藤田幸也のやりたい音楽だけを演る環境が整ったプロジェクトで
音楽性は荘厳そのもの。

かといってSHIGEの持つ従来のビートロック魂が随所で現れるので
拳が上がらないというわけでもない。

なにより幸也の歌詩と声がマニアックな音楽性を超えて私達に浸透するので
多分それに侵されたファンは一種のカタルシスさえ感じてるに違いありません。


まぁ今ではD≒SIREもJILSも気が向いたときにやってくれたりするので
個人的には幸也が楽しんでその時その時にやりたいことやってくれれば
それだけで嬉しかったりします。

惜しむらくは音源が普通に販売されないことと未発表音源が多すぎること。
ライブが開催されても半分以上がCDになってない曲で占められています。

非常に限られた販売形態でもなるべく食らいついてきたんですが
さすがに借金がある状態ではつい先日発売されたCDは手が出ませんでした。

うぅ……再録されることを祈ります。
というか2ndアルバムを待ちわびて10年以上になるんですが。


とにかく、幸也さん、
これからも自分のやりたい活動だけやっててください。
それだけで私達は満足です。
それくらい楽曲に対する信頼があります。
これまで救われてきた歌詩は
今でもこの胸に打たれたまま、抜けない。


Afterword -DAYS 20211111-

というか、私のマガジンの"音故知新"の画像がこの方々です。

画像3

※元の画像はこちら↓

画像4


幸也さんゾロ目が好きなので
よく7月7日とか10月10日とかになんかやります。
それにつられ私も結構意識するようになってしまいました。

Lastfmに登録した日もですし

画像1

2011年11月11日にはmixiでこんな投稿したこともあります。

画像2

『恐山ル・ヴォワール』というボカロ曲が発表され
投稿された"歌ってみた"が林原めぐみなのか否かで盛り上がってましたね。
ちょうどこの日1,111,111回再生されるという
出来すぎた瞬間に立ち会いました。

ポッキーの日とか考えたことないですよ。笑

そして、このnoteで初めて書いた記事が、9月9日なんですよねぇ。

これは偶然じゃないです。笑

というわけで本日の記事はここまでになります。
以下は14年前に書いたライブレポになりますので
お時間のある方だけ覗いてみてくださいな。



ライブレポート ▶2007.11/11 光と影-Primal Moon Rising-


ステージ下手のSHIGEがギターを止めて眼前を見つめる。
花道の先頭で幸也が後ろを向き、それに応える。

『ねぇ、君が教えてくれた 「思い」は忘れないよ』

「君の声が」

(君の声を)

「求めるなら」

(求めたから)

「またもう一度」

(もう一度だけ)

「・・・詩うよ」

『FLAW』...Kαinの1stデモシングル。
これはきっと再会の詩。

SHIGEと幸也が。
幸也と私達が。

現実で傷ついた心を持ち合って
辿り着いた場所は
普通とは少しズれた空間。

・・・パラダイスロスト。
私にとっては、ライブの空間そのものが、それに相等するようだ。

始まりの日にそぐわないはずの涙が
思わず胸の隙間に滲み込んだ。


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前回20070729から約2ヵ月と半月。
幾多の奇跡を鬼籍に重ねて、
ついにkαin初のワンマンの日を迎えることが出来た。

刻は14時。
すでに物販には黒服の長蛇。
この日初めて頒布される音源を求めて
ラフォーレ六本木から伸びたその尾は
千切れては伸び、縮んでは修復されていく。
一向に途切れそうにもない。

・・・なにせCDを一枚も出していない状態での初ライブ。
ライブ開始まで僅かな時間でも
耳を通しておきたいのがファンの心理だろう。
私もその欲望に従って、列の細胞と化す。
この待ち時間さえ、高鳴る鼓動を増幅させる栄養補助でしかない。

天気はあいにくの小雨。
重い雲が時折唸り、思い出すようにパラパラと雫を落とす。
にも関わらず、私を革質に排出した後にも蛇尾は形成されてゆく。
後から加わっていたらしい友人との挨拶も手短に、
私は近くのコンビニ縁に急いだ。

この日のために数年かぶりに持ち出した“CDウォークマン”。
今日以上にこいつを頼りにすることはないかもしれない。
公演まで約3時間。
デビューアルバムにこの時間と全神経を預げる。




ちょうど一周くらいしたところで、
前回のライブぶりの友人から電話が鳴る。
合流して、「でもKαinにはこの天気のほうが合ってるかもね」
「快晴と幸也って合わないかも」
「雷とかあってもいいくらい」

どこか異能の世界を託したラフォーレ六本木への、
期待がさらに膨らんでしまった。


左右に燭台を構えた十字架。
それを挟む二つのスクリーン。
the ENDのプロモーションビデオがステレオで流れる中で
突起した花道に吸い寄せられるように会場が埋まってゆく。

薄暗い視界の中で揺らめく照明。
ステージに浮かび上がるのは絵に描いたような風景。

イヤでも20070502の九段会館を思い出す。
思えばあの時出口に見えた扉は
どこか大きな教会の入り口にも思えてきた。

怒涛に浴びせた呼び声で、振り返らなかった背中が目指した場所。
その行き先が、ここには在るのかもしれない。
今までJILSの名のもとに集っていたもの。
それは紛れもない楽園?だったのかもしれない。
その園を抜け出してまで、何を詠うのか。

それを・・・いま「確かめてみたいんだ」?


照明が落ちた。
蝋燭に灯が燈り、十字架がライトアップされる。
シルエットが二つずつ、二回フェイドインする。
最後に一つ。
その影を、呼ぶ声が・・・

ついに殺到する!


「いつまでも いつまでも 探していた」

終わりを詠う低い声が浸透してゆく。
凛とした重圧が歌詩を押し付けてくる。
CDを軽く凌ぐ衝撃に「この涙ごと この躰体ごと」撃ち抜かれた。

意味なんて解らない。意図なんて汲み取れない。
ただ空間を満たす音楽に
この身体が溺れたのはよくわかった。

肺でじゃなく、皮膚で呼吸する感覚。
当然始めて聴く楽曲を、意識につなぎとめようと五感が働く。
たぶんフロアは深海。
ステージは底から見上げる太陽。もしくは月。

だからその光を辿ることに全神経を研ぎ澄ませられる。
今はそれだけが瞼に感じる唯一の光。
幸也の声を、幸也の声を、今は求める。


CDを聴いても感じたことだが
Kαinになって、より譜割が適当に感じられた。
いいかげんな意味の適当、ではなく、歌詞に合わせられた創り、みたいな。

だから余計“歌う”よりは“詠う”感じ。
より“作詞”じゃなく“作詩”だなぁ、って思った。

今回のアルバムはJILS時のミニアルバムのような“等身大”ではなく
世界観を組み込んだ“コンセプト”アルバムの様だけど
等身に重ねられる文章もいつもながらあるし、
・・・言葉の魅力はますます上がってる気がする。

でもやっぱり、これはD≒SIREでもJILSでは紛れもなく違う。
奇しくも・・・それはギターが俊介じゃないってことだけでもそれは感じられたけれど。


ライブも中盤。
DEMOライブのとき二日とも一曲目に演奏された曲が始まる。
曲名はlost。
たぶんJILSが終わったときのファンの心境ってこれに近いような気がする。

もしくは、幸也もファンに想ったこと、かな?
この辺り、全て私の独断だけど
そう思いながら聞くとますます呼吸が乱れた。

だから腕を伸ばす。
「幸也!」叫ぶ声にもチカラが入る。


そして、すでに聞き慣れた前奏が鳴った。
唯一、完成版として配信されていた楽曲、『FLAW』
今までのファンにはとても聴きやすく
おそらくkαinとして初めに聞くには一番違和感なく入り込める曲。

・・・だと、この日聴くまでは思っていた。
こんなにも、ライブ栄えする曲だったなんて。

このカインというバンドは、
SHIGEと幸也とエトセトラが以下略な感じで結成されたというMCがあった。
きっとそのせいもあっただろう。

2サビの後のCメロで・・・
呼吸が実際に溺れたみたくなった。
二人の想いは到底私達の理解には及ばないだろうケド
絶対に、絶対に知ることは叶わないだろうケド
その関係を思って切なくなる。

この歌詞の掛け合いが切なくなる。

大げさで、あまりにおこがましい表現だけど、
「よかったね」って。
こうして同じステージに立ってて良かったねって。
本気で思った。

だからホントに、今日この場所に入れてよかった。

それはJILSの時も思ってたことだけど。
思ってなきゃいけないって幸也も言ってたけど。

・・・これがきっと答えの一つなんだろうなァ。


やがて本編が終わり
「アンコールって言うな」っていう以前のMCが効いたのか(苦笑)
控えめなアンコール(笑)に呼ばれて三度Kαin登場。

最後は、早くもライブ限定曲の格を漂わせてきている『回帰線』。

「振り返るたび あの頃が愛しく思えた」
これまでの軌跡を消すことなんて出来なくて
でもそれだけじゃダメで
ただ前を向き続けて、それに疲れてまた思い出して
それがやっぱり愛しいものなんだと気が付いていく。

「何度でも 何度でも 泣きじゃくる君を抱きしめて」
抱きしめられて、確かめ合う愛がある。
寄りかかるということは支えあうと同じカタチ。
お互いがお互い絶対的に必要な存在。
それを言葉として断言してくれる幸也を愛してる。


もう、なんだかKαinはこの曲を聴かないと帰れないライブになりそうだ。

現実で傷ついた心を持ち合って
辿り着いた場所は
普通とは少しズれた空間。

・・・パラダイスロスト。
私にとっては、ライブの空間そのものが、それに相当する。

パラドックスという箱がある。
ファンにとっては好きなバンドがそのボックスそのものだったりする。
喜びも、悲しみも、その箱によって引き出されることが多々あるし。

Kαinという三つ目の箱を用意してくれた幸也は、
必ず来るであろう“いつか”の日に、どんな景色を見せてくれるのだろう。

・・・どんなものであれ、私の心に刻まれる。
もう既に、幸也の詩は禁断の実として、この身体で消化してしまったのだから。



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えいちびぃ
最後まで長文お読みいただき誠にありがとうございました。 つっこみどころを残してあるはずなので 些細なことでもコメント残してくれると嬉しいです!