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論文 音楽とは

目次
1.音楽をどう聴いているか
2.いい音楽とは何か
3. TikTokの普及と現代人の音楽リテラシーについて



1.音楽をどう聴いているか
人は音楽の聴き方として大きく二種類持っている。一つは無意識のうちに聴く聴き方。もう一つは能動的に探して聴く方法である。前者についての話からしようと思う。
今や音楽は他コンテンツとのコラボレーションによって、さまざまな用途で発信、消費されている。まず、ザイアンス効果により無意識のうちに繰り返し聴いている曲は好感度が上がりやすいと考えられる。家に帰って自分の携帯で聴いてみるとそんなに良くないと感じることがあるのはこのせいである。つまり、自分の好みというわけではないのにも関わらず、単純接触により好みだと脳が勘違いしているのだ。この点において、大衆音楽は他の音楽に対して視聴者に対するアドバンテージを手にしていると言える。結果的にCM起用、ドラマの主題歌など、沢山の人に聞かれるような典型的な曲にスポットライトが当たりやすくなっている時代と言える(この傾向はメディアが発達してから変わっていない)。ここで、TikTokの普及後の世間の話は除く。結論として、人は無意識に音楽を聴く時、より何度も聴いた方が好感度を増し、それは個人の好みとはあまり相関がないと考えられる。

次に後者の聴き方について述べる。能動的にと言っても、近年はサブスクリプションやAIによるレコメンドにより、個人別のおすすめからdigするという能動的選択ができる時代である。もちろんそのような聴き方も能動的と言える。自分で選択して聴く場合、自分の好みが浮き彫りになりやすい。スケールやテンポ、尺の長さやアーティストの雰囲気には一定の偏りが出ると言っても良い。私の場合は、その曲に一つ以上の尊敬すべき(褒めるべき)点がある場合、聴こうという気になるため、最初は飛ばし飛ばしで聴いて気に入ればダウンロードすると言った流れで知っている曲を増やしている。


2.いい音楽とは何か
さて、「いい音楽」とはなんだろう。友人に作曲を行なっている人がおり、その人がこう言っていた。
「音楽は自己満足だから好きな曲を作ればいい。」
なるほど例えば音楽で食べていくとなればそれでは売れない可能性があるため、大衆ウケを狙った曲こそがお金を稼ぐという目的に対していい音楽となるが、非営利の場合はそうなのかもしれない。
そこで私なりに結論を出そうとしたが出なかった。
人間にとっていい音楽とは何かを考える。
これは二元論のように見える、一つは人に評価される音楽である。売れている音楽、大衆ウケする音楽、歴史に名を刻む音楽とも言える。
もう一つは難しいこと、新しいことをしている音楽である。既存のセオリーから一部外れ、作者以外の人知の及ばないものである。

ここで整理した情報をもとに考えてみると、両者とも時代により変化するのではないか。人が素晴らしいと感じる音楽は移り変わっているし、それに起因してセオリーも更新されていく。つまり、いい音楽とは時代により変化することは間違いないと考えられる。では音楽のステータスで時代によらないものとはなんだろうか。それは主観を除いた楽譜上のものや音色である。このことから、普遍的にいい音楽とは存在しないことが分かる。なぜならいい音楽という定義が主観的であるからである。

いい音楽とは個人の感想であり、統一されることはないのではなかろうか。
音楽は自己満の域を超えず、ただ単に技巧的なものや、運の良い斬新なものが評価されているように感じる。

3. TikTokの普及と現代人の音楽リテラシーについて

ボーカロイドは2015年で死んだはずだった。兼ねてから自分は好みで色々なボーカロイドを聴いていたが、いわゆる「オタク」文化は「千本桜」を除いて、世のフロントに顔を見せることなく、YouTubeの普及とは逆行し、マスに飲み込まれる形となりつつあった。作者にとって、無料動画としてバズるよりプロになった方が安泰だという背景もあったのだろう。つまり、自作の音楽の支持がプロを超えることがなかった時代であった。
そこで流行したTikTokは若者の過ごし方だけでなく、音楽のあり方、売れ方をも大きく変えることとなる。
ロキ、シャルルのバズりを合図にサブカルチャー音楽が陽の光を浴びるようになったのだ。この流れは自作のコンテンツがTikTokにより、見直されている証拠と言える。発信者がオープンソースとしての音楽を使い、踊ったり動画編集をするという形態のTikTokでは、音楽の種類はむしろ手作り感のあるサブカル音楽の方がしっくりきたのである。
これにより、人々はマスメディアによる大衆音楽に加えて、TikTokによるサブカルチャー音楽に触れる機会が与えられたのである。
これと同じ要領で、インディーズの邦ロックに対する知識も現代人は特に持っている方だと考える。

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