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エッセイ 08 釣れない釣り

私は釣りが大好きです。子どものころから親に連れられてよく海へ釣りに行っていたことから好きになっていたようです。

釣りにも種類はたくさんあるのですが、主にルアー釣りをやっています。
ルアーとは魚の形に似せて作った人形のようなものです。
このルアーを魚のように泳がせることで、小魚を捕食している大きな魚を釣ろうというわけです。


ルアーはどんなに頑張ったとしても作り物なので、エサを利用した釣りには負けてしまいます。釣りに行っても釣れないことも多いです。
釣りをしている人には伝わると思うのですが、意外に釣りは頭を使います。
生き物相手の遊びなので、どんなときにも当てはまるような正解というものはなく、その場での答え探しを常に考えています。ルアー釣りの場合は場所の移動を頻繁に行うため身体も使います。


もちろん魚を釣ることが目的ではあるのですが、仮に一匹も釣れなくても十分楽しめています。周りの状況を分析し頭の中であれやこれやと考えを巡らせ、出した答えを再現するための道具を用意し実際に動いてみる。これで釣れれば大満足。釣れなくても正解へ近づくための情報が手に入ったといえます。


そんな中、テレビなどの釣り番組を見ることもあります。

いつもは行くことが出来ないような場所や、釣ったこともないような魚を紹介していたりなど、とても楽しめています。

撮影をしている方々は、どうにか魚を釣り上げるために大変苦労されているだろうことが想像できます。カメラマンやスタッフさんなど多くの人がいる中で、実際に釣りをしているプロアングラーの方などは、釣らないといけないというプレッシャーの中でとんでもない精神力だと感じています。

番組の中では、多く魚を釣り上げることがほとんどですが、まれにほとんど釣れていない場合があります。または、1時間番組の中で一匹も釣り上げないこともありました。

その時に気付いたことがあります。
「たくさん魚が釣れているときに比べて、釣れていないときの方がおもしろい」

釣り番組を娯楽として楽しむのであれば、釣れてくれた方が楽しいです。しかし、学習として利用するのであれば、釣れていない方が有意義です。


プロアングラーの方は、番組のために釣りあげることを精一杯頑張っています。しばらくして状況が悪く釣ることが難しいと解った時から、”その方の本気”が見られます。

こういう状況であれば、こういう考えから、この手段をとる。
そうでなければこうやる。・・・・・・
これの繰り返しが見られます。


釣りのプロアングラーの方々は、とてつもない実力の持ち主です。
釣りは、傍目から実力がわかりにくい競技のため、本来の能力が見えにくいです。テレビやメディアに出ている方々は、野球でいうともれなくプロ野球の中のトップ選手と同等です。(活躍できる場が少ないため)

その方々が、状況に左右されやすい自然の中で、運悪く状況がわるい場面に出くわし、その中でも結果を出そうと必死に行っている様子が見られるというのは、とても価値があります。

1時間ほど、なにも釣れることがなく終わった番組ですが、いつもの番組以上に得るものが多かったです。

見ている自分たちは、実力不足のためいつも釣れない状況になるのですが、そんなときにはこういう考えをしていけば良いと学習することが出来ました。


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