「サイコパス」 (中野 信子著)を読んで

中野 信子著書の「サイコパス」を読みました。
これについて思ったこと、感じたことを書いてみます。

1 この本を選んだ理由:
表題に惹かれたのと、この著者の他の著書(脳科学について)を読んだことがあったので、読んでみました。
2.最初の感想:
サイコパスは社会全体では一定数存在し、社会が社会が大きく変わる時は、彼らは重要な役割を果たしており、進化の上では有意な存在ではないか?に驚きました。
また、マザーテレサやジョブス、ニール・アームストロング(アポロ11号の乗組員)もサイコパスだったのでは?との記載もあり、マザーテレサと云えば「慈愛の人」というイメージのみでしたので、意外な感じでした。

3. 一番気になったところ:
従来の反社会的行為を抑制するために作られた社会規範やルールは、罰を恐れない人間(サイコパス)」にはほとんど無意味であり、別の手段でサイコパスの犯罪を抑制することを考えなければいけない」と書いてありました。
しかし、この考えが進むと、「サイコパス=犯罪者(もしくはその予備群)だから、犯罪を犯す前でも一定の措置はやむを得ない、一般人を守るためなら」とならないか? 都合のいいレッテルや差別化に「サイコパス」という言葉が使われないか?という点が気になりました。

4.アニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』を再度見て、感じたこと:
このアニメは未来の2112年が舞台で、厚生省が管轄する「シビュラシステム」が人間の生体反応を計測し、個人の能力や性格をスコア化して”管理”をする社会が描かれています。

街頭スキャナーによりフェイスレコグニション(顔認証)を行い個人を特定する。さらに精神状態の表層的な部分を視覚化した「色相」の色を判別し、犯罪傾向をスコア化した「犯罪係数」を割り出し、その地区全体の「エリアストレス」を測りその数値が一定を超えた係数を出した人は、犯罪を犯してなくてもその場で拘束(場合によってはドミネーターという武器で射殺)することで、今後起こりうる犯罪を未然に防ぐことができる、というもの。

まさにここでは予防措置的な社会システムが捉えていると感じました。
特に、「あいつはサイコパスだ(もしくはその気質がある)」というレッテルやランク付けの方が、サイコパスが起こす犯罪行為よりもはるかに危険なのかもしれない?と感じました。

5.参考に調べた内容
 イギリスの週刊科学雑誌「New Scientist」の記事「英国の警察は、AIが暴力犯罪が発生する前に阻止することを望んでいます(2018/11/26)」では、NDASと呼ばれるシステムでAIと統計の組み合わせを使用し、誰かが銃やナイフの犯罪を犯したり被害者になったりするリスクや可能性を評価しようとする試みが紹介されていました。

New Scientist の記事のリンク先https://www.newscientist.com/article/2186512-exclusive-uk-police-wants-ai-to-stop-violent-crime-before-it-happens/


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